
最新のカフェやレストラン、高級ブランドショップが並び、東京でも特に都会的なイメージがある表参道。この街中に2020年5月、突如“森”が出現したのをご存じだろうか。
東京メトロ・表参道駅から青山通りを外苑前駅方面に歩くこと5~6分。角を曲がると、ケヤキやサクラなど樹々が生い茂り、小川が流れる森が現れて驚く。敷地には賃貸レジデンス、サービス付き高齢者向け住宅、商業施設、保育所、地域交流施設などで構成された25階建ての複合施設「ののあおやま民活棟」がそびえ立つ。今回はここの1-2階にある「ののあおやまショップ&レストラン」の飲食店3店を紹介する。

ところで、表参道にどのようにしてこれだけのスペースの森が生まれたのか。
ここは都の所有地で、1950~60年代に建てられた都営団地があったが、老朽化で「北青山3丁目地区まちづくりプロジェクト」が計画され、大規模なリノベーションが決定。東京都の公募で東京建物や三井不動産など4社が請け負った。
敷地は3500平方メートルもあり、点在していた低層の団地群を高層マンションに集約化したことで余剰地が生まれた。それを活用したのが「ののあおやま民活棟」だ。「ののあおやまショップ&レストラン」は “森の商店街”をコンセプトに作られたそう。では、順番に回っていこう。

まずは一階から。青山通りから来て真っ先に目に入るのが「ERIC ROSE(エリック・ローズ)」だ。ハワイで人気のカフェ「MORNING GLASS COFFEE + CAFE(モーニンググラスコーヒー+カフェ)」の新業態店で、店名のエリック・ローズ氏はスターバックスの創業メンバーの一人でもある。
“森の中のカフェ”とは、よくありそうな雰囲気重視の店だと思いがちだが、カフェオレをひと口飲んで、既成概念ががらりと変わった。鼻に抜ける香りや、深い味わいはとても印象的だ。
店内にはバリスタが常駐。コーヒーの豆はシングル・オリジン(単一産地)にこだわり、「フルーティーな味が好き」や「苦くて重めが好み」など、客に合ったコーヒーをエチオピア産、ニカラグア産などから選んで抽出してくれる。「ののあおやまのレストランはどこも素晴らしいですが、コーヒーの味はうちが一番だと思っています」と、キッチン担当の今村圭佑さんは胸を張る。