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リモートワークの普及や雇用の流動化――。ビジネスパーソンを取り巻く環境が激変するなか、キャリアや仕事の悩みを抱える若手社会人は少なくありません。連載「20代のおしごと相談室」では、メンタル問題のプロである産業医の大室正志さんと、ビジネスのプロである経営共創基盤の共同経営者、塩野誠さんが、20代のお悩みに答えていきます。

今回の相談者は、都内有名私立大学4年の男子学生Dさんです。4月にIT(情報技術)大手企業への就職を控え、「働き方」について心配なことがあると言います。

お悩みカルテ#4
「3年は頑張れ」「逃げてもいい」どっちが正しい?(私立大学4年)
 1年生の頃から将来やキャリアのことを考え、複数社で長期インターンをしていました。なので、働くイメージはある程度持っているつもりですが、就職を控え、「働き方」について最近不安になってきました。
 というのも、直近にやっていたスタートアップでのインターンが朝8時に出て帰りは終電という生活で、これが続くと無理だなと感じ、ハードワークのイメージが強いコンサルティング会社の内定は辞退し、再び就職活動をしました。今の内定先はハードワークというわけではないですが、自分の性格として100%コミットしないと満足できないタイプなので、オーバーワークになる可能性があるのではないか、と危惧しています。
 新卒に対してよく世の中で言われていることとして、「新卒は3年が勝負(スキルを身につけるため)」という説と、「つらくなったら逃げてもいい」という説の両方があると思いますが、どちらを信じたらいいのでしょうか? 逃げてもいいと言ったって、辞めた後にどうなってしまうのかわからないですし、スキルが身に付いていなかったら、できる仕事もないような気がします。

「3年神話」どこから来た?

大室 「石の上にも三年」という言葉もありますが、「3年神話」は確かにありましたよね。この神話はどこからきたのか考えてみると、やはり日本特有のメンバーシップ型雇用(職務内容を限定しない雇用スタイル)なんですよね。村の一員として信頼関係を構築していくのが基本スキルで、村人と認められるのに3年かかる、ということだったんじゃないかなと。

一方、ジョブ型雇用の考え方だと、職種によって一人前になるスピードって異なるはずなので、全部が3年っておかしいんですよ。例えば不動産の電話営業は得手不得手の差がすごく出るけど、やること自体は数週間で覚えられる。一方で会計など、まず全体像を見るだけでも2~3年かかる仕事もあります。だから私は「石の上にもN年」って呼んでます。

塩野 おっしゃるとおり、職種によりますね。それに卒業後3年以内は「第二新卒」とも言われます。つまり「社会人経験のある新卒さん」という見方なんですよね。

大室 今ね、新入社員の「五月病」って減っているんですよ。昔に比べて「ここで辞めたら社会人失格だ」というプレッシャーが減ったから。どちらかと言うと、4月の研修で「なんかここ違う」って辞めて、管理職がダメージ受けているという……。

塩野 桜とともに去りぬ、みたいになっちゃってる。事実として新卒入社後3年で3割が辞めてますからね。

大室 「ここを逃したらだめだ」という社会的プレッシャーから解放され、損切りできるのは、いいことだと思うんですよね。ただ一方で、副作用もあります。

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