鴨川に東山とまさに京都を代表する眺めを客室で独り占めのカモガワビュー客室

東山三十六峰を望む風光明媚(めいび)な鴨川のほとりに位置する「ザ・リッツ・カールトン京都」。『源氏物語』をコンセプトに名和晃平氏など著名アーティストの作品が館内を飾り、洗練された空間にラグジュアリーな雰囲気が漂う。

全134室の客室はすべて50平方メートル以上で、ナチュラルな中に七宝など伝統的文様が入り、京都の職人技を取り入れたインテリアが目を楽しませてくれる。上質なリネン類やアメニティーが用意されたバスルームで、ゆったりと心地よいひとときを過ごすことができる。鴨川に面した「カモガワビュー」の客室では、窓からの景色を眺めているだけで、しばし時を忘れてしまいそうだ。プールやフィットネス、スパも充実している。

ダイニングとして会席、すし、天麩羅(てんぷら)、鉄板と4つのジャンルで展開する「水暉(みずき)」、クラシックモダンのイタリア料理「ラ・ロカンダ」、「ザ・バー」と格子のインテリアが京都らしいティーラウンジ「ザ・ロビーラウンジ」とバラエティーに富む。この中で、ミシュラン1つ星に5年連続輝く実績を誇る「天麩羅 水暉」の料理人の技が光る天麩羅を紹介したい。

豊かにひろがる天麩羅の世界を楽しむ

おまかせの天麩羅は、仕上げにカツオと利尻昆布の一番だしを使った天茶漬けまたはかきあげ、そして最上コースでは卵黄の天麩羅ご飯のキャビア乗せ、さらにピエール・エルメ・パリのデザートがつく。全国から取り寄せた極上の食材を、最上の味の天麩羅に仕上げていく。御影石のカウンターの向こうで対峙する小島太典料理長の見事な包丁さばきに思わず見入ってしまう。

かりっとした天麩羅のしそで巻いたヒレ肉は、口の中でじんわりと肉汁があふれる

車エビや甘ダイ、ハモやキス、京丹後の平井牛のヒレ肉しそ巻きなどに加えて、この日はマツタケや丹波栗も。手元には京都の原了郭(はらりょうかく)の黒七味塩など3種の塩が用意されている。一番絞り紅花油を用い、軽い風味にしていることで、素材の味が生きる。また、2つの油鍋は温度が異なり、低温の鍋ではじっくり揚げて余熱で蒸らし、高温の鍋ではさっと熱通しをするなど食材ごとに最適な揚げ方で目の前に並ぶ。車エビはカリカリの頭と身を分けて、甘ダイは鱗(ウロコ)せんべいをつけてと。小島料理長の食材や食べ方の説明を聞きながら、天麩羅の世界はこんなにも豊かだったのかと驚かされる。

ワイン、日本酒、ウーロン茶まで最適なペアリングも素晴らしい。季節で変わる食材をどんな天麩羅の技で味わわせてくれるのか――。何度も通いたくなること間違い無し。極上のホテルでの至高の味だ。

小野アムスデン道子
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。