ただ、「それでも優秀な受験生の間では文1や文2の人気が高い。そこで浪人すると、どうしても東大という受験生は募集人員も多い文3を志望しがちになる。その結果、文3のレベルが上昇し、文1や文2と並んだのだろう」と近藤氏は指摘する。東大合格トップ3の開成高校、筑波大学付属駒場高校、灘高校、そして女子校首位の桜蔭高校は今も合格者数は文1の方が文3より多い。一方、現役合格率で見ると、文1が75%、文2が77%であるのに対し、文3は63%で、確かに浪人の比率が高い。

背景には「学際系」学部の人気も

もう一つ、文3の難易度が文1に並んだ背景には「学際系」学部人気がある。法律や経済など専門分野を学ぶより、教養をベースに幅広い分野の学問を身につける学際系学部の偏差値が近年上昇。早稲田大学でももともと夜間系の学部だった社会科学部や文化構想学部が、看板の政治経済学部に匹敵する人気学部になった。現役の東大文3の女子学生は「文学部でも社会学系などの人気は高い。自由な雰囲気だし、好きな学問を追究できる」と語る。

大学通信調べ。※印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。合格者数は各高校への調査などから集計した。校名は現在の名称

陰る文1、光の差す文3。今、東大が生み出すエリート像は様変わりしている。「絶対、法学部に行きたいわけでもなかった」。開成高から文1に入学し、法学部を卒業後に経済産業省の官僚になった佐久間弘明さん(25)は明かす。開成時代は弁論部で6年間過ごすなど、官僚になるための王道を歩んだように見える。

ただ、「理論社会学に興味が湧いた」と法学部ではなく、文学部や後期の教養学部への進学も模索。悩んだ末に法学部で政治を専攻したが、官僚は選択肢の1つにすぎなかった。法律や政治学をガリガリ勉強したわけではない。3年生の時に経産省のインターンシップ(就業体験)に参加。国1では「法律」や「経済」など専門知識を問うコースではなく、「教養区分」というコースを選択し、グループディスカッション力を評価され、一足先に3年生で合格した。広告代理店などメディア系企業にも内定したが、キャリア官僚の道を選んだ。

経産省では人気の情報経済課に配属された。「官庁は長時間労働問題でよくたたかれるが、法律や予算の策定に携われたし、充実した日々を過ごした」という。しかし、わずか3年で辞め、今年、大手コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーにシニアアソシエイトコンサルタントとして入社した。

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東大卒の人気就職先は「外コン・外銀」
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