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少子高齢化が進み、終身雇用の前提も崩れる中で、働く世代は老後に備え、自分で資産を運用する必要に迫られている。そこで注目を浴びているのが、ポートフォリオの提案から運用までを自動で行ってくれるロボアドバイザーサービスだ。その最大手で、2020年にロボアドバイザー専業として初めて上場したウェルスナビ。最高経営責任者(CEO)の柴山和久氏(44)は財務省の出身だ。

仕事にやりがいを感じていたが入省9年目、「家庭との両立」という壁にぶつかり、同省を退職。その後フランスのビジネススクールで経営学修士(MBA)を取得するも、再就職に苦戦し「自分は社会から必要とされていない」と打ちのめされた。それから5年、起業へと踏み出した理由とは。

MBA取得するも届かない内定通知

「広く社会に役立つ仕事をしたい」という志を抱き、2000年に大蔵省(当時)に入った柴山氏は、予算、税制、金融、国際交渉と幅広い仕事を経験。ハーバード・ロースクール留学中に知り合った米国人女性と結婚し、プライベートも充実していた。しかし、英財務省への出向を終え、日本に戻ると妻が悲鳴を上げた。原因は朝9時から深夜3時、4時までの長時間労働。仕事か家庭か、悩んだ末に、家庭を守るために退職を決意した。次のキャリアを見つける準備として仏ビジネススクールINSEADに留学。MBAを取得した。

クラスメートは次々とグローバル企業から内定を得ていた。自身も再就職先は簡単に見つかる。そう思っていた。しかし卒業間近になっても、内定通知はなかなか届かない。

「アメリカ、イギリス、シンガポール、日本……といろんな国の企業のいろんなポジションに応募しました。全部で20社近く。第一希望は事業会社で、労働時間が長いコンサルや金融の優先順位は低めでした。今考えれば、いろんな会社のいろんなポジションに応募していたという事実からもわかるように、自分自身が何をしたいのか、明確にわかっていませんでした。採用する側からすると、未経験者で、かつ何をしたいかわからない人を採るリスクは高い。でも当時は、それに気づきませんでした」

財務省に在籍中、夫婦で生活を切り詰め1000万円をためていた。だがINSEADの高額な学費と生活費を払った結果、貯金は100万円も残っていなかった。卒業から2カ月たっても、不採用通知の山は積み上がるばかり。口座残高はじりじりと減っていく。気持ちは焦るが、面接の予定は散発的にしか入らず、時間だけはあり余っていた。

ウェルスナビCEO 柴山和久氏

ウェルスナビCEO 柴山和久氏

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