完熟の果物で仕込んだフルーティーな酢をお取り寄せおいしいお宝発掘(6)

福岡県のスーから果物酢、和歌山県の梅ボーイズから梅酢をお取り寄せ
あふれるお取り寄せ情報の波にさらされ、自分の暮らしに合う良品が見つけづらいとお悩みの方に送る「おいしいお宝発掘」。第6回は果実酢&梅酢をご紹介する。

スーパーのお酢売場には、米酢や穀物酢、リンゴ酢、黒酢、ワインビネガー、バルサミコ酢など、多種多様な酢が並んでいる。すし酢やピクルス酢など用途別も入れるとかなりの種類にのぼるが、それでもまだスーパーでは見つけにくい酢がある。果実酢と梅酢だ。今回は、ギリギリまで木の上で完熟させた季節の果物を使った酢を、福岡と和歌山から取り寄せた。

福岡「スー」 採れたての果物ときれいな水で造る甘酸っぱい酢

果実酢というと酢に果物を漬け込んだものを思い浮かべる方が多いかもしれないが、福岡県うきは市にある「スー」の果実酢は、採れたての果物をまるごと発酵させて仕込む贅沢な酢だ。しかも果物のほとんどは、近くの農家がギリギリまで木の上で完熟させたもので、糖度も香りも豊かな果物で仕込んでいる。

1本200ml入り。シャインマスカット酢のみ900円で、きょほう酢、もも酢、いちじく酢、あまおういちご酢、しょうが果実酢は780円。ほかになし酢もある

スーは大山英章さん、紀子さん夫婦が営む小さな醸造場。英章さんの実家も宮崎で酢の製造業を営む。家業を手伝ううちに自分の造りたい酢をゼロから始めたいという思いが募り、酢醸造の免許取得に必要な6年の修業を経て、15年ほど前に独立した。

実家で試作をしていたとき、果物をそのまま発酵させると、独特の香りと味の酢ができることに気づいた大山さん夫妻は、独立にあたって、果物栽培が盛んで、水のきれいな土地を西日本で探し、福岡県の内陸に位置するうきは市にたどり着いた。初めて耳にする土地だったが、酢の発酵に適した気候で、木造の古い建物や地下水をくみ上げる深い井戸など、求めていた条件の物件も見つかり、ここで自分たちの酢造りを始めた。

木の上で完熟した地元農家の果物を使って仕込む(画像提供 スー)

福岡で果物といえば全国的にあまおうイチゴが知られているが、うきは市では、イチゴだけでなく、モモやイチジク、梨、ブドウ、秋の柿まで途切れることなく果物が栽培されている。つまり、冬以外は、採れたての地元の果物で酢を仕込むことができる。

「こちらの農家さんは、樹上完熟のほうが味がいいからと、いまもギリギリまで待って収穫される方が多いんです。発酵には熟れた果物が向いているので、とてもありがたい環境です」(紀子さん)

今回取り寄せたのは、モモ、イチジク、シャインマスカット、巨峰(きょほう)、あまおういちごの果実酢と、福岡産のショウガを漬け込んだミックス果実酢の合計6種類。1本200ml入りなので合計1.2Lだ。一度に酢を大量に取り寄せて消費できるのか?と思われるかもしれないが、これがあれよあれよと言う間に減っていくのである。それにはわけがある。

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和歌山「梅ボーイズ」兄弟愛から生まれた甘くない梅干