2022/11/30

寄付をする際には、自分が制度を利用できる「上限額」を知るのが最初のステップになる。年間トータルで上限額を超えると、超えた分については先の控除が受けられず、「純然たる寄付」となる。上限額は寄付者の年収や家族構成などによって異なり、総務省「ふるさと納税ポータルサイト」の「寄付金控除額の計算シミュレーション」などを利用すれば、簡単に自分の概算上限額を計算することができる。

源泉徴収票を待たずにピックアップ

一般的に税負担の重い人ほど上限額が高くなるため、同じ年収なら独身者が扶養家族のある人より多くの利益が受けられる。収入がない専業主婦や学生が自分名義で寄付をしても、そもそも控除の対象となる税金がないため、制度の恩恵にはあずかれない。年金生活者やアルバイト・パートなどの短時間労働者は、一定以上の所得があり所得税や住民税を負担していれば利用できる。

会社員など給与所得者だと、12月に勤務先から「給与所得の源泉徴収票」をもらえば、22年の正確な収入が分かる。だから、ふるさと納税の申し込みは例年12月末に集中しがち。でも、年末ぎりぎりに手続きをしようとすると、欲しかった返礼品が品切れになっていたり、自治体のサイトにつながらず寄付ができなかったりといった不都合が生じやすい。源泉徴収票を待たずに早めに返礼品をピックアップし、前年の収入を参考にざっくりと上限額を算出したうえで、その7〜8割を目安に寄付を進めておくとよい。

寄付先や返礼品を選ぶときに、最近のトレンドも知っておこう。これまで返礼品は高級魚介や牛肉、フルーツなど、自分で買うには抵抗を感じるプチぜいたく品が人気を集めた。今の話題は普段使いの雑貨や米など。ティッシュペーパーやトイレットペーパーを幅広くそろえる静岡県富士市や栃木県小山市などは、コロナ禍で大きく寄付額を伸ばしている。大手ポータルサイトは「外出制限などで潜在的なニーズが高まったこともあるが、制度そのものが利用者の日常に根付いてきた証拠では」とみる。今春以降の値上げラッシュでさらに拍車がかかり、調味料や食用油、ビールなどの食料品や酒類を希望する人も増えているという。

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旅行中に納税、お土産代に利用