着たいもの着る自由を手に ADB副官房長・児玉治美ダイバーシティ進化論

2023/1/26

2022年、最も印象に残ったニュースにイランでの反政府デモがある。9月、ヒジャブ(髪を隠すスカーフ)の着用をめぐり風紀警察に拘束された女性の急死を受けて全国的な抗議行動が起こり、今も続いている。

1979年のイスラム革命以来最も長いデモの最前線に立つのは女性たち。道端でヒジャブを脱ぎ、燃やしたり髪を切ったりして、命がけで宗教上の戒律に基づく法を破り、自由や人権の尊重を求めている。

女性が変革を求め立ち上がったケースは歴史上数多い。55年前、米国でミスコンに反対した女性らが、抑圧の象徴である口紅やハイヒール、ブラジャーをゴミ箱に捨て、外見にとらわれない自由を主張した。「ブラジャーを燃やすフェミニスト」のイメージがアイコン化された事件だった。

日本でも2019年に始まった#KuToo運動が記憶に新しい。「靴」と「苦痛」を掛け合わせた造語で、職場でのハイヒール着用の義務付けに抗議する運動である。ハイヒールによる健康被害や女性だけに苦痛を強いる差別的扱いに焦点が当てられ、国会でも取り上げられた。

写真はイメージ=PIXTA