Lifestyle

オーロラ・先住民……イエローナイフが映す「新しい旅」

Discover Canada Sponsored byカナダ観光局

カナダ リジェネラティブな旅(3)【PR】

2022.10.24

イエローナイフでは3泊すれば95%の確率でオーロラ鑑賞ができる(カナダ観光局提供)

サステナブル(持続可能)な旅行への関心が高まっている。新型コロナウイルス禍による旅行制限をきっかけに、観光客が受け入れ地域の環境保全の重要性にも目を向け始めているからだ。そうしたなか、従来サステナブルな観光を実践してきたカナダが注目されている。大自然との共生や同国の特徴である多様性を実感する「地域と観光客がともに満足できる観光」を通じて、従来にない体験ができる。「リジェネラティブ・ツーリズム(再生型観光)」を進めるカナダの旅をお届けする。

ラグジュアリーな旅の定義が変わりつつある。従来の高額で贅沢(ぜいたく)なだけの旅行ではなく、サステナブルな行程でその地域でしかできない体験を通じて地域にも貢献する旅行だ。それを象徴するのが北極圏に近いカナダ北西部の街、イエローナイフへの旅だ。オーロラ鑑賞、先住民文化などが体験できる唯一無二のユニークな場所だ。新しい旅のカタチがここにある。

オーロラ ■ 「祖先の霊のダンス」伝説が訪問客の心癒やす

漆黒の闇の中、見上げた星空に白い光の帯がうっすら浮かび上がると、帯は一気に広がり緑のカーテンとなり夜空にゆらめく――。オーロラを見た人は予想を超える美しさに圧倒される。一生のうち一度は体験してみたい「バケットリスト」の上位に入れる価値はある。

北極圏に近いカナダ北西部ノースウエスト準州の州都、イエローナイフ。3泊すれば95%の確率でオーロラが鑑賞できるとあって、人口約2万人の街には例年その何倍もの観光客が訪れる。オーロラ鑑賞の舞台に必要なのは空気の澄んだ夜空。気候が安定する11〜4月がシーズンだが、イエローナイフでは8〜9月にも見られる。午後10時から午前2時の時間帯によく見えることから、観光客は夕食後にホテルのある街の中心からバスなどで郊外へオーロラ鑑賞に出かけるのが一般的なスタイルだ。

街の北東約20キロの場所の丘陵地帯にあるオーロラ鑑賞施設、オーロラ・ビレッジでは先住民の移動式住居であるテント「ティーピー」で暖を取り、温かい飲み物を飲みながらオーロラの出現を待つ。オーロラが現れると皆一斉に外に飛び出し、夜空を見上げる。夜空を舞うオーロラの想像を超える美しさに「ワオ!」「スゴい!」といった声が思わずもれる。

  • オーロラ・ビレッジではテント「ティーピー」でオーロラの出現を待つ(ノースウエスト準州観光局提供)

  • 「訪れた人をもてなす観光業は先住民文化そのもの」とドン・モーリンさん(カナダ観光局提供)

地元先住民で創設者のドン・モーリンさんはこの施設を通じてオーロラの美しさだけでなく、先住民の文化を伝えたいと考えている。それを象徴するのが、オーロラを巡る先住民の伝説だ。

「オーロラは私たちの祖先の霊です。祖父母や父母、兄弟、親戚など亡くなったすべての人が空で楽しそうにダンスをしているのです。肌の色や国籍の違いはありません。私たちすべての祖先の霊なのです」

モーリンさんが香港から来た女性客にこの話をすると女性は涙を流したという。5年前に亡くした夫の存在を身近に感じられ、悲しみを癒やすことができたからだ。「私たちの文化を通じて、訪れた人を癒やすことがきるのを本当にうれしく思います」

「観光の仕事は先住民文化そのものです」とモーリンさん。子供のころ、母親はこの地を訪れた人を自分の家族のように家に招きもてなした。お茶や食べ物、ときには寝る場所も提供してきた。それを観光という形にしたのがオーロラ・ビレッジというわけだ。

幻想的な美しさで訪れる人を魅了するオーロラ。しかし、それにまつわる先住民文化を知れば、それは唯一無二の特別な体験になることをイエローナイフは教えてくれる。

先住民文化体験 ■ 自然・動物との共生を体感

イエローナイフではオーロラ鑑賞と合わせて、先住民などが経営するツアー会社を通じ先住民文化を幅広く体験できる。ノースウエスト準州は人口約4万5000人のうち半数を先住民が占める、先住民のホームランド。移民の国であるカナダで、長い歴史や文化を感じることができる場所だ。

ビー・デネ・アドベンチャーズは施設でオーロラの出現を待つ間に、さまざまな文化体験を提供している。その1つがトラディショナル・ドラムだ。動物の皮を張ってつくった太鼓をたたきながら歌を歌う。オーストラリアから来た観光客は「大きな音を立てるためにスティックで思いっきりたたき続けた。単調なリズムを繰り返すうちに、なにか自然と一体になるような感覚だった」と話していた。ここでは先住民の料理も楽しめる。近くの湖でとれたノーザンパイクという淡水魚のグリルは淡泊な中にうま味がしっかり詰まっている。一緒に食べるバノックはトウモロコシの粉などからつくるパンで、英国のスコーンに似た味だ。

  • ビー・デネ・アドベンチャーズでは先住民の伝統的な太鼓を体験できる(カナダ観光局提供)

  • 「互いを尊重し合う先住民の精神を伝えたい」と話すジョー・ベイリーさん(カナダ観光局提供)

「先住民の文化を知ってもらうのは何万年も前からこの地に住み、自然や動物と共存してきた私たち先住民の使命です」。こう話すのはノーススター・アドベンチャーズのジョー・ベイリーさんだ。ノーススター・アドベンチャーズでは、オーロラの出現を施設で待つのでなくバスに乗って深夜の森を走り、オーロラの見える場所に自ら移動する「オーロラ・ハンティング」のほか、キャンプなどを通じた先住民文化体験プログラムを楽しむことができる。

オーロラ・ビレッジではドリームキャッチャーづくりが人気だ。ドリームキャッチャーは先住民の魔よけ。枕元に飾るとよい夢だけが見られるという言い伝えがある。先住民の講師が自らの民族の歴史とともに作り方を教えてくれる。最後にはハーブなどをいぶした煙を使って場所などを浄化するスマッジと呼ばれる儀式も体験できる。

ツアー会社はこの3社以外にも多くあり、さまざまな先住民文化体験プログラムを提供している。冬場のプログラムとして代表的なのは犬ぞりやアイス・フィッシングだ。

犬ぞりは先住民が雪の中で狩猟をしたり、物を運んだりするときに使っていた。狭い道や平野、森林地帯の長い距離を移動するのに都合がよく、極北地方では生活に不可欠な交通手段だった。移動中の休憩時に、最初に食事をするのは人間ではなく犬たちだったという。アイス・フィッシングは凍った湖面に2カ所の穴をあけ、穴と穴の間に網をわたしておくと魚が勝手にひっかかるという先住民が生み出した漁法。現在カナダで行われているアイス・フィッシングはこれとほとんど同じやり方をしているという。こうした体験で、先住民が自然や動物とどう向き合い共生してきたかを体感できる。

「この地を訪れる人に知ってほしいのは、先住民文化の根幹にある、互いを尊重し合う精神です。それは人間と人間の間だけでなく、人間と自然、人間と動物の間にもあてはまるものです」とベイリーさんは話している。

カナダ産ダイヤモンド ■ 新しいラグジュアリーの象徴

天空にオーロラが舞うこの土地の地下には、ダイヤモンドが眠っている。イエローナイフの北東約300キロメートルの場所にダイヤモンド鉱床が発見されたのは1991年。現在カナダは世界第3位のダイヤモンドの産出量を誇る。

カナダ産ダイヤモンドは、北極圏の雪と氷の世界で育まれたみずみずしさが特徴だが、サステナブルでエシカル(倫理的)な生産過程が、新たなラグジュアリーの象徴として注目を集めている。その採掘から商品化までの工程を学び購入もできる施設が、イエローナイフの中心にあるNWTダイヤモンドセンターだ。

「カナダ産ダイヤモンドは自然環境や労働環境に配慮した生産をしている」と話すパトリシア・カフェさん

「カナダ産ダイヤモンドを選ぶお客様はカナダ産の透明感に魅力を感じているのはもちろんですが、なによりその製造過程がエシカルなことが購入の決め手になっています」。同センター・ディレクターのパトリシア・カフェさんはこう話す。同センターではカナダのダイヤモンドがどのように採掘・加工され、消費者の元に届くのかがわかり、消費者は安心して購入できる。

鉱山では地面をそのまま地下に向かってすり鉢状に掘る露天掘りで採掘が進められている。採掘が終われば、土砂で埋めて元通りの自然の姿に戻す。雇用面では「鉱山で働く人の50%はノースウエスト準州から、25%は先住民から採用することになっている」(カフェさん)。もともと先住民の土地だったということを考慮し、先住民の生活や文化の保護と地域経済の発展の両立を目指している。こうした姿勢が消費者の支持を集めるともに、人権や環境保全の面から「責任ある資源調達」を掲げる宝飾品のラグジュアリーブランドにカナダ産ダイヤモンドの採用を促している。

みずみずしい輝きとエシカルな生産過程で支持を集めるカナダ産ダイヤモンド(NWTダイヤモンドセンター提供)

ラグジュアリーの定義は変わりつつある。従来の高額・豪華といった独り善がりともいえる贅沢の追求ではなく、環境に配慮したサステナブルでエシカルな取り組みを通じ周囲も幸せにするような価値の追求こそがこれからのラグジュアリーになりつつある。カナダ産ダイヤモンドは新しいラグジュアリーの象徴となっている。

世界の観光客は新しい旅を求めている。宿泊予約サイトのブッキング・ドットコムが2022年2月に世界32カ国・地域の約3万人に調査したところ、「現地の文化を代表するような体験を楽しみたい」と回答した人は66%に達し、「訪れた場所をより良い状態にして帰りたい」と回答した人も59%だった。唯一無二の地域文化を体験しつつ、地域のコミュニティーに貢献するという新しい旅のカタチ。その答えがイエローナイフにある。

「Discover Canada」の記事一覧はこちら