
組織再編、買収という名の転職も
自発的に退職せず、早期退職勧奨にも遭わずに会社に残り続けたとしても、図らずも“転職”することもあります。社内の事業再編によって在籍している事業部が子会社化される、会社名や職務はそのままで他社に買収されるといった事態です。
目の前の仕事は変わらなくても、会社の位置づけや風土が突然変わる可能性があるのです。大手企業に勤めているから定年まで安泰、というのはもはや夢物語でしょう。
事業再編などの大きな環境変化は、キャリアシフトのタイミングでもあります。自己の強みを改めて整理して新会社で頑張るのか、それとも転職を検討するのか。受け身ではなく、能動的に考えてみてください。
昔のようにのんきではいられない
筆者は過去に、親会社と子会社・関連会社で同じロゴを使っている企業グループに勤務していたことがありました。ロゴが同じこともあってか、親会社から片道出向でやってきた部長以上の役職者は、本社の社員気分で働いていました。子会社の職務にはあまり積極的に取り組んでいない印象がありました。
あるとき、ロゴのデザインが変わりました。ロゴの形は同じですが、親会社と子会社で異なる色にしたのです。
親会社の社員気分で働いていた子会社の役職者は、色の変更に猛反発しました。その声が大きく、結局ロゴの色は親会社と同じものに戻りました。
筆者は当時、「そんなことに反発するパワーがあるなら、仕事に注いでほしい」と思ったものです。今の50代は、こんなのんきなことはとても言っていられないでしょう。今思えば、本当に平和な時代でした。
天笠 淳(あまがさ・あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。
[日経 xTECH 2022年6月16日付の記事を再構成]