日経クロストレンド

そもそも、ナチュラルローソンは環境や健康への意識が高い20代から40代女性がコアな客層で、環境配慮型のエコストア製品との相性は良い。店頭にある無償のボトルを利用すれば気軽に“お試し”買いもできるため、愛用者はもちろん、興味はあるが大きなボトルを買うのをためらっていた潜在的な利用者の掘り起こしにもなっているようだ。

「量り売りによって、自由度の高い、新しい価値を提供できると思いました。サービスを始めて1年半ほど(取材時)たちますが、『よくやってくれた』『もっと扱う商品を増やしてほしい』といった、ポジティブなお声を大変多くいただいています」

実は量り売りを始めた20年夏ごろ、新型コロナウイルス禍でイートインスペースがほぼ活用できずにいた。「ナチュラルローソン神宮外苑西店」では、イートインスペースの一部に什器を設置。デッドスペースの活用にもつながった。その逆にコロナ禍によりナチュラルローソンでは、洗剤カテゴリーの売り上げが量り売り導入直前の20年7月において、前年比2割以上伸びていた。そうした動きも導入への追い風になっただろう。

21年2月には都内5店舗に増え、松山油脂(東京・墨田)「LEAF&BOTANICS(リーフ&ボタニクス)」シリーズのハンドソープやシャンプー類も加わった。利用者からの要望に応えたものだ。ただ、直接肌に触れる化粧品類は医薬品医療機器等法(薬機法)が関わってくる。最初に導入する店舗で、保健所の指導を何度も仰いだほか、万が一に備えてラベルに商品追跡のためのロットナンバーを印字する必要にも迫られた。薬機法に知見のある松山油脂の協力などを得ながら販売にこぎつけたという。

消費する側がわざわざ足を運びたくなる店になるのは大きな魅力だが、従業員の作業が煩雑になっては本来の目的である人材不足解消とは矛盾する。導入店側の負担は増えていないのだろうか。

「量り売りに限らず、新しいサービスの導入はこれまでにも行ってきたことです。秤の周りをふいてきれいな環境を保ち、足りない商品の補充をするといった最低限の管理は必要ですが、それはほかの商品も同じこと。手間が増えたという話は聞こえてきません。ロット番号の印字も点検の延長線上の作業で、どんな従業員でも対応できる簡易なものです」

21年7月からは、5店舗でドライフルーツやナッツ、チョコレートなど、食品の量り売りも始まった。洗剤やコスメ類の購入者は40代から50代の女性が8割を占めていたが、それとは異なる層へ広がりを見せた。売り上げも大きく上向いたという。

「お菓子などの食品は、食べて気に入ったらまたすぐにでもご購入いただけるところが洗剤やコスメ類との大きな違いです。ナッツ類は30代の男性にも好評で、オフィスでの仕事やテレワークの合間に健康的なおやつとして選んでいただけているようです。お子様を連れたお客様は、ドライフルーツなどをケースから袋に取り出したり、タッチパネルの操作をお子様が楽しんだりしながら、イベントのような感覚でご購入いただいています。今までとは違う買われ方をしていると感じますね」

ナッツ類も自分で好きな分だけ買える
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全国のローソンへの展開を視野に