黒毛和牛と旬の加賀野菜で彩る会席の膳 東京・神楽坂

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2021/12/27
「黒毛和牛 特上サーロインステーキ 能登結晶塩 ステーキソース」

東京・神楽坂は、風情あふれる街並みが多くの人をひきつける。そんな神楽坂で、少しぜいたくな和食を味わいたいという願いをかなえてくれるのが2015年3月に開業した「肉会席 ゆかわ」だ。

神楽坂らしい石畳の続く細い路地に、誘うかのように店名が入った照明がともる。古くからあった旅館をリノベーションした店は、ノスタルジックな外観で気分を盛り上げてくれる。

のれんをくぐり、引き戸を開けて一歩足を踏み入れれば、そこは落ち着いた和の空間。店内はすべて個室で、1階に5室、2階に6室あり、2~12名まで対応可能だ。

いずれの部屋もゆったり。和のしつらえがおもむきを添え、部屋によっては中庭を見下ろせる個室もある。非日常的な空間が、ぜいたくなひとときを彩ってくれることうけ合いなので、ハレの日にぜひ利用してみてほしい。連れてきてもらった人にはきっと喜ばれるはず。

料理長、西花智之さんは、石川県加賀市の出身。

和食一筋、30年以上に渡り腕を磨き、石川県でも最高峰と言われる、山中温泉にある温泉旅館で料理長を務めたほどの実力派。その後、東京に活動の場を移し、現在は料理長として、腕をふるっている。

「ここでしか味わえない食材などを、できるだけ料理に取り入れています。お客様に喜んでもらえるように、全国各地から食材を取り寄せて、吟味しているんですよ」と、ベテランにもかかわらず、新しい食材への探求にも余念がない。

メニューは和牛ステーキをメインにした会席コース、しゃぶしゃぶをメインにしたコースがある。一番スタンダードなコースは、前菜や煮物、ステーキ、ご飯物まで全7品からなる「上 黒毛和牛ステーキ会席~藤~」8800円だ。

目指すのは、和牛を中心にした会席。

「肉と加賀野菜とのコラボレーションです。料理長ゆかりの石川から旬の加賀野菜を取り寄せ、肉と野菜をバランス良く召し上がっていただく。そうすることで、最後までおいしく食べられる会席に仕立てています」と語る支配人の山崎修さん。

そんな同店で通年食べられるメニューを紹介しよう。

ステーキはオーブンでローストした後、肉汁を閉じ込めつつ、網焼きで焼き目をつける

周りをカラフルな野菜で彩られた「黒毛和牛 特上サーロインステーキ 能登結晶塩 ステーキソース」は自慢のひと品。赤身とサシのバランスが絶妙のA4ランク山形牛を使用している。

ひと口食べると、そのとろけ具合に驚かされる。厚みのある肉が、ひとかみするだけで、あふれ出す甘いジューシーな脂とともにとろけていく。この感動は上質な和牛を厳選している「肉会席 ゆかわ」ならではのもの。

絶妙な食感を生み出しているのが、料理長の技術だ。いったんオーブンでローストした後、肉汁を閉じ込めつつ、網焼きで焼き目をつける。最後に網の上で焼くことで、香りが立ち、肉もギュッとしまるのだ。

シンプルな調理だが、焼く時間や温度に定石はなく、その日の湿度や室温、肉の状態に応じて、すべてが変わる。絶妙な焼き加減は、料理長が長年にわたって身に付けた技と言えるだろう。

ステーキは、トリュフ入りのしょうゆソースと、能登の結晶塩の2種類が添えられる。

結晶塩とは、塩を炊く釜の中で、条件が整って初めて生まれる貴重な塩で、100キログラム中わずか数キログラムしか取れないもの。ミネラルを豊富に含み、塩味がまろやかで、和牛の甘さを際立たせくれる。調味料まで考え抜いているところにもうまさの秘訣が垣間見られる。