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福島千里さん 陸上人生をかけた挑戦でつかんだ新記録

元トップアスリートに聞く(中)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

陸上競技女子100m(11秒21)と200m(22秒88)の日本記録を樹立してトップを走り続け、2022年1月末に引退を表明した福島千里さん。08年の北京五輪の出場で国内から世界で戦うことに意識が向き、日本選手権では11年から6年連続で100mと200mの2冠を達成した。インタビュー2回目は、16年に6年ぶりに200mで日本記録の樹立につながった、常識にとらわれない練習方法や、18年に環境を大きく変えた理由について語ってもらった。

◇   ◇   ◇

――前回記事(「福島千里さん 日本記録が出ても世界から見ると挑戦者」)では、08年の北京五輪への出場で世界へと視線が向いて、10年から自分で練習メニューを考えてトレーニングされていたと伺いました。16年には200mで現在も破られていない22秒88の日本記録を樹立されましたが、振り返ってみて、大記録を残せた要因は何だと思いますか。

10年から16年のリオデジャネイロ五輪まで、自分で練習メニューを考えてトレーニングしていました。もちろん、育ててくださった中村宏之監督から意見をいただいたり、トレーナーさんにサポートしてもらったり、励まし合えるチームメートがいたりしたことも力になりました。そんな恵まれた環境で挑んだ16年のリオ五輪は、次の東京五輪へのステップではなく、競技人生の集大成としてやり切ろうと決心して挑んだ大会でした。12年のロンドン五輪から14年秋の仁川アジア大会の前まであまり調子が上がらず、焦る気持ちがあったのですが、かなりしっかりと練習したんです。

陸上人生をかけて常識を覆す冬季練習にチャレンジ

――しっかりした練習とは?

筋トレに力を入れて肉体改造をしました。すると、予選落ちもあり得ると思っていたアジア大会の100mでは、100分の1秒及ばず連覇こそならなかったものの、自分の予想を裏切るいい動きで2位(11秒49)になり、肉体改造が間違っていなかったことが分かりました。「練習を変えること」の手応えを得たことで、翌年の世界選手権に向けてのギアが入り、それまでの冬季練習の概念を取っ払って、シーズン中と同じ練習を続けようと決めました。

――通常の短距離の冬季練習はスピードを抑えて距離を延ばして本数をこなし、心拍数や筋持久力を上げる土台づくりのイメージがあります。シーズン中と同じ練習とは、スピードを落とさないトレーニングですか?

はい。寒い中でスピード練習をするとケガをしやすいのですが、インドア競技場[注1]で練習できるメリットを生かして、スピード練習の継続にチャレンジできました。身体的にはつらかったですが、16年のリオ五輪を集大成にするという一心で、目標を貫くことができました。かなり挑戦したシーズンでしたが、通過点である15年の北京での世界陸上の100m予選では11秒23という好記録で3着に入り、2大会ぶりに準決勝へ進出できて手応えを得ました。

世界陸上を終えた後は、再びあのつらい冬季練習を過ごさないといけないという覚悟が必要でした。でも、「もう1年この練習を続けたら私はどう進化するんだろう」という楽しみがありましたね。リオ五輪で絶対に結果を残したいという強い思いと自信を持って冬季練習に入れました。

[注1]前回記事で紹介したが、当時所属していた北海道ハイテクACでは室温が20℃に保たれた直線130mのインドアスタジアムで、季節や天候に関係なく練習ができたという。

――陸上人生をかけた長期スパンでのチャレンジだったんですね。

そうですよね。ダメだったらどうしようという気持ち、進化するかもしれないというワクワク感などいろんな感情を抱きましたが、世界陸上で1つ形にできたという手応えが自信になって練習を続けられたし、リオ五輪の選考会である日本選手権にも自信を持って挑めました。100mで五輪の切符をつかめればいいと思っていたので、先に100mの切符を獲得し、200mは気持ちに余裕を持って挑むことができ、走ったら6年ぶりに日本記録が更新できたという感じです。最後のレースだったので体は疲れていましたが、自己ベストが出たのは練習の成果だと思います。本当にうれしかったし、今思えば22秒88は感慨深い記録で、頑張ったなと思います。

――冬季にスピード練習を続けることで、ケガに対する怖さはなかったですか?

もちろん、ケガのリスクもありますが、スピードに耐え得る筋力をつける本格的な筋トレを続けてきました。スピード練習は筋肉に大きな刺激が入るいいトレーニングです。通常だと、レースに向けて少しずつ練習量を落としながら調整していくので、筋力が落ちます。でも冬季も練習量を落とすことなくスピード練習を続けてきたので、14年から年々筋力アップしていきました。ケガしない体を作ることができれば、メリットしかないかと思います。

――本格的なウエートトレーニングは?

それまでも筋トレはやっていたんです。でも全く知識のない中でやっていました。それを、プロフェッショナルのトレーナーの力を借りて、知識を頭に入れてから筋トレをするようになりました。この筋肉をこう動かすから鍛えられるなど、知識をきちんとインプットすると、筋トレの質が一気に上がったように思います。迷うところや自分の考えが行き届かないところを助けてもらえるトレーナーの存在は、練習の質を上げ、厳しい練習を継続する上でも非常にありがたかったです。

――厳しい筋トレ、スピード練習を継続する上で、体のケアはどうされていたのでしょうか。

体の状態を見ながらマッサージなどをしてくれるトレーナーによるサポートは、ケガを防ぐ上で大きかったと思います。また、ケガをする前は、「足が張っている」「疲れが取れにくい」などのサインが出ているはずなんです。そのサインを見逃さないように意識することも大事だと思います。

五輪後に環境を大きく変えた理由

――17年に北海道ハイテクACを退職され、長年指導してもらっていた中村監督とも別れて、18年に上京するという大きな決断をされます。セイコーホールディングスに所属し、環境を大きく変えるという決断に至った理由について教えてください。

16年に3大会連続で出場したリオ五輪は、私にとって次の東京五輪を目指すための大会ではなく、陸上人生をかけてやり尽くした大会でした。しかし、米国のニュージャージー州での合宿中に左太もも裏を負傷し、結果的に100mを欠場し、専念した200mでは23秒21で準決勝進出ができなかった。満足できなかったからこそ、東京五輪を目指すことになりましたが、17年のシーズンは序盤から足のけいれんに苦しみ、日本選手権100mで2位、200mで5位になるなど負けっぱなしだったんです。その当時の環境では次の一手が見いだせなかったので、モチベーションを上げるために思い切って環境を変えることにしました。

――チャレンジという意味での環境の変化ですか。

そうですね。もっと知恵を絞り出せれば、環境を変えなくても良かったのかもしれません。でも当時は、最善を尽くしてリオ五輪に臨んだので、もう次の一手が見つからなかったんです。続けるならモチベーションを維持するために違う環境で挑戦するという選択肢か、引退するかの二択でした。

――次の一手とは、練習メニューや戦略のことですか?

そうです。10年から16年のリオ五輪まで、中村監督に意見をもらいながら、自分で練習メニューを考えてトレーニングをしていたんです。でもリオ五輪が終わって、かなり疲れてしまって…。心機一転するためにも、神奈川県内に拠点を置き、仲田健トレーナーの指導の下、同じチームに所属する山縣亮太選手(100m東京五輪代表)と一緒に練習することにしました。それまでから一変して人から与えられたメニューをやることで、メニューを考えるためのエネルギーを、走ることへ注ぐといったイメージでしょうか。

みんなとても優しかったし、新しい仲間との練習は新鮮でした。山縣選手の集中力や切り替え力は素晴らしかったです。「練習、いやだな」など人間味があることを言いながらも、いざ練習になればやることはきちんとやる。鋭い感覚を持っているので、一度得た感覚やビデオで走るフォームを見ながら再現できる素晴らしい選手です。私もよく感覚派だと言われるのですが、どちらかといえば理論派だと思うんですけどね。

(最終回に続く)

(ライター 高島三幸、写真 厚地健太郎、ヘアメーク 高柳尚子)

福島千里さん
1988年北海道生まれ。北京・ロンドン・リオデジャネイロ五輪日本代表。女子100m(11秒21)、200m(22秒88)の日本記録保持者。日本選手権の100mで2010年から2016年で7連覇を成し遂げ、2011年の世界陸上では日本女子史上初となる準決勝進出を果たした。2022年1月に現役生活を引退。引退後は、セイコースマイルアンバサダー(スポーツ担当)として次世代育成に貢献している。

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