変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

ビジネス書売り場のある2階エスカレーター前の面陳列棚に3列に並べて展示する(八重洲ブックセンター本店)

ビジネス書売り場のある2階エスカレーター前の面陳列棚に3列に並べて展示する(八重洲ブックセンター本店)

本はリスキリングの手がかりになる。NIKKEIリスキリングでは、ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチし、本探し・本選びの材料を提供していく。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。再開発に伴う3月末の閉店まで残り2カ月を切った。店内には44年の歴史を振り返るパネルや閉店を惜しむファンからのメッセージが飾られる一方、一足早い返本のため空いてしまった書棚もちらほら見かける。そんな中、書店員が注目するのは人的資本経営の基本を実践的に解説した人材マネジメントのプロ2人の共著だった。

開示義務化で高まる関心

その本は吉田寿・岩本隆『企業価値創造を実現する人的資本経営』(日本経済新聞出版)。著者の1人、吉田氏は企業統治助言会社のHRガバナンス・リーダーズ(東京・千代田)のフェローで、多数の人材マネジメント構築やコンサルティング案件に関わってきた。もう1人の著者、岩本氏は山形大学学術研究院で産学連携教授を務め、外資系企業やベンチャーで豊富な人材マネジメント経験を持つ。2人とも実務にも理論にも通じた人材マネジメントのプロだ。

その2人が「今なぜ人的資本経営か」に始まり、人的資本開示の潮流、先進企業の実例、実践に向けて何に取り組むべきかまで詳細に解説したのが本書だ。人的資本開示は有価証券報告書(有報)を発行する大手企業4000社を対象とし、2023年3月期決算以降の有報に記載が義務化される。22年11月刊の本書が今ランキング上位に浮上してきているのは、いよいよ開示のタイミングが近づいているためだろう。何をする必要があるのか、どのような考え方で取り組めばいいのか、人事部門や情報開示に関わるビジネスパーソンなら、知っておきたいことが6章構成でコンパクトにまとめられている。

人的資本経営とは何か、その基本となる考え方を提示する一方、これを具体的に示すデータや測定基準についてもたっぷり言及しているところが本書の特徴だ。基準に沿ってデータをそろえたり国際規格の認証を取ったりするには、個々の企業の事業実態に合わせた細かな作業が必要になるだろうが、国際規格や米国の法案、日本政府の指針などを読んでいくと、めざすべき方向性は見えてくるはずだ。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック