こうなると、今後のマネジャー層の課題は非オフィスの生産性向上になります。在宅勤務の社員もいる中でチームをいかにうまく統率し、全員のモチベーション(やる気)を高めるのでしょうか。昔のタイプの上司の場合は在宅勤務以上に出社してくる部下を評価しがちになるでしょうが、それでは公平性が担保できません。マネジャー層の人も新たなスキル開発のためのトレーニングや研修が必要になると思います。

オフィスのあり方が問われていますね。都心のど真ん中に大きなビルが必要なのでしょうか。IT(情報技術)系の企業の中にはオフィスのスペースを削減しているところもあります。

「通勤地獄」は過去のものに

コロナ禍では、多くの人々がつらい思いをしています。日本の場合、29%が収入は下がったと回答しています。女性の方がやや多く、職を失った人もいるでしょう。残業代が削られた社員も多いかもしれません。

しかし、コロナ禍を機に多くの企業が「働き場所改革」に踏み切るのは朗報と言えるのではないでしょうか。

在宅勤務ベースであれば、都心の狭い自宅に暮らす必要はないと、郊外や地方にどんどん移り、「通勤地獄」は完全に過去のものとなるでしょう。これまではオフィスの場所を考え、通勤に便利な沿線に暮らしてきました。しかし、今後は子供の教育など家族重視の考え方で住む場所を選べるわけです。地域社会全体が変わると思います。

村上臣
青山学院大学理工学部在学中に、仲間とともにベンチャー企業「電脳隊」を設立。所属先のベンチャー企業とヤフーが合併したのに伴い、2000年にヤフーに入社。1度辞めた後に復職し、12年から執行役員兼最高マーケティング責任者(CMO)に就任、モバイル事業の企画戦略を担当。17年11月から現職

(代慶達也)

(4)失業率ゼロ時代はやってくる IT人材育成にも新たな波

(6)コロナ下の高ストレス時代 休憩・休暇でメンタル対策