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アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が「ゲイであることを誇りに思う」と自らのセクシュアリティーを公にしたのは2014年。ここ数年、日本でも多様性を受け入れようという機運が高まり、LGBT(性的少数者)のメンバーが働きやすい職場作りに取り組む企業が増えてきた。だが、経営トップがLGBT当事者であることを公表している例は極めて少ない。

そうした中、監査・税務やコンサルティングなどを手がけるEYジャパンのチェアパーソン兼CEOである貴田守亮氏(50)は、ゲイであることを公表し、LGBTに関する理解促進や権利擁護の活動を社内外で積極的に展開。世界的にも高く評価されている。8歳から暮らした米国で人種差別とLGBTへの差別の両方を経験したという同氏。これまでどんな人生を歩んできたのか。

ダンスパーティーの季節に気づく

千葉県のサラリーマン家庭に生まれ、「ごく普通の小学生だった」貴田少年の生活が一変したのは1979年、8歳の時。父親の転勤に伴い家族でロサンゼルスに渡った。日本が猛烈な勢いで米国経済を追い上げ、市場にあふれ出した日本製の自動車や電化製品が、メイドインジャパンのイメージをかつての「安かろう悪かろう」から「高品質の証」へと大きく変え始めた時期だった。

しかし、日本という国のプレゼンスが高まろうと、日常生活ではアジア人として激しい差別を受けた。特に小学生の頃は精神的なイジメだけでなく身体的な攻撃も受け、両親が学校の先生に相談に行くほど深刻だった。

自身のセクシュアリティーに気づいたのは中学生の時。米国の中高生は毎年ダンスパーティーの季節になると「誰を誘うか」で盛り上がるが、周りの男の子が女の子を誘っている状況を自分にあてはめてみた時、強い違和感を覚え、自分の関心が男の子に向いていることに気づいた。

当時米国では、黒人の市民権運動や女性解放運動などとともに、ゲイやレズビアンといった性的マイノリティーの人権保護を訴える運動が活発化。貴田氏も米国各地で行われているLGBTによるレインボーパレードの様子を報じるテレビを見たことがあった。だが、そこに映し出される人々と自分との間にはギャップを感じ、自身の心と体に起きていることの真実を知ろうと図書館に向かった。

EYジャパン・チェアパーソン兼CEO 貴田守亮氏

EYジャパン・チェアパーソン兼CEO 貴田守亮氏

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