P&G人事が新人に薦める 自分らしく働くための2冊

P&Gで人事を担当する篠原さん
人気企業・注目企業が新人教育で使ったり、新入社員に推薦したりしている書籍と、各社の人材育成戦略を取り上げるシリーズ「社会人1年目の課題図書」。第13回はP&Gジャパン(神戸市)です。

P&Gは、「アリエール」や「ジョイ」といった洗剤や「SK-Ⅱ」をはじめとする化粧品などで知られる世界最大級の消費財メーカー。「働きがいのある会社ランキング」などで常に上位にランクされ、就活生の人気も高い。同社のヘアケアブランド「パンテーン」では2018年から、黒いひっつめ髪、ダークスーツに代表される画一的・無個性な日本の就活スタイルに疑問を投げかけ、「就活を自分らしさを表現できる場に」というメッセージを発信。20年はLGBTQ +(性的少数者)の元就活生の体験にスポットを当てた広告が話題を呼んだ。

同社自体も多様性や個性を尊重した人材育成に定評があるが、新入社員にはどんな本を薦めているのだろうか。ヒューマン・リソーシズ(人事部門)ディレクターの篠原みゆきさんに尋ねると『藁を手に旅に出よう “伝説の人事部長”による「働き方」の教室』(文芸春秋)『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』(日本経済新聞出版)の2冊が挙がった。

「推薦図書リストのようなものはないのですが、P&Gには社員同士が良いと思った本を薦め合うカルチャーがあり、最近特に話題になったのが『藁を手に旅に出よう』です」

同書は2020年9月に出版されたビジネス小説。主人公は地味な中堅企業に就職したものの、働く意味や自身の強みを見いだせずにモヤモヤしている新入社員、サカモトだ。彼は同期と一緒に参加したキャリア研修で、伝説の人事部長「石川さん」に出会う。石川部長は『うさぎと亀』や『わらしべ長者』などの寓話に、キャリアという視点から新たな解釈を加えながら、哲学的な問いかけをしていく。その問いに答えようともがく中で、新人たちは自分のキャリアについて自ら考え成長していくという物語だ。

「藁を手に旅に出よう」
著:荒木博行
出版:文芸春秋
著者の荒木氏は住友商事人事部出身。グロービス経営大学院でクリティカル・シンキングや経営戦略の講師を務めるなどした後、2018年に株式会社「学びデザイン」を設立した。ビジネス書を自ら執筆するほかイラストも手掛け、さまざまなビジネス書籍の案内人も務める。著書に『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑』『世界「倒産」図鑑』など。

「伝説の人事部長」が説く、人生のオーナーシップ

「石川部長はスパッと心に響く言葉を発する人なのですが、この本を読んだ社員の間で、当社の中にも石川部長に似た人がいるよね、という口コミが急激に広がったんです。特定の誰かというわけではなく『この視点って○○さんが日頃言っていることに近いよね』とか『このコメントは△△さんっぽいよね』と複数の社員の名前が挙がっていました」

次のページ
入社1日目からリーダー 「与党思考で」
ビジネス書などの書評を紹介
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら