
独フォルクスワーゲン(VW)の日本法人、フォルクスワーゲングループジャパンの社長兼アウディ ジャパン ブランド ディレクターのマティアス・シェーパースさんは、新型コロナウイルス禍によって自動車の利用価値が再発見されたと指摘する。「1000万円のアウディの電気自動車(EV)のシートにあえて再生素材を選ぶ消費者が増えている」とも明かす。SDGsというグローバルな課題のキープレーヤーである自動車メーカーにとって、現代の富裕層が求める新しいラグジュアリーの定義を探ることは極めて重要であると断言する。
コロナ禍で車の価値観を再発見
――コロナ禍によって価値観が大きく変わりました。移動手段としての車の価値も再認識されたと聞きます。
「確実にそう思います。仕事でも長時間・長距離を車で移動する欧州と違い、日本では通勤に車を使う習慣がそれほどありませんでした。東京―大阪間も新幹線の方が便利ですから。ところがコロナ禍になると、新幹線すら乗るのを避けたい、混み合う駅は嫌だ、という意識が強まりました。遠方にも車で出かける人が増え、車を利用する姿勢が大いに変わったと思います。コロナのインパクトはとても大きく、高級車販売の押し上げ要因にもなりました」
「アウディのEV『e-tron』は供給が全く追いつきません。半導体が足りないという生産工程の問題を差し引いても、予想以上の需要の高まりが大きく影響しています。コロナ禍を通して車の価値が再発見されたと言っても言い過ぎではないでしょう」

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