日経ナショナル ジオグラフィック社

チェッコーニ氏の写真には、物質主義と宗教的伝統のミスマッチが写し出されている。「極端な消費は、内面の緊張を埋め合わせる一つの手段です。私たちが生きている資本主義システムの世界では、物を買えば気分がよくなるとされています。それ自体はすべての人に当てはまることですが、クウェート人が他の国の人たちと違うのは、何でも好きなことをするお金があるということです」。ある人にとってそれはフェラーリであったり、自分だけのために古代ローマの円形闘技場のレプリカを作ることであったりする。

クウェート市在住のある男性は、子どもの頃から珍しいペットを飼うのが夢だったという。これまでにライオン3頭を飼い、今はチーター2頭を飼っている。現在クウェートでは、こうした珍しい動物をペットとして飼うことは禁止されている(PHOTOGRAPHS BYGABRIELE CECCONI, PARALLELOZERO)
クウェート市のアル・シャヒード公園にあるモスクで祈るイスラム教徒たち。クウェート国民はほぼすべてイスラム教徒で、その多くがスンニ派に属している。イスラム教は国教だが、信教の自由は憲法で保障されている。国外に居住するクウェート人のうち、イスラム教徒は約64%、キリスト教徒は26%(PHOTOGRAPHS BYGABRIELE CECCONI, PARALLELOZERO)
国内最大の緑地帯であるアル・シャヒード公園で、体験型の美術作品の展示を楽しむ人々(PHOTOGRAPHS BYGABRIELE CECCONI, PARALLELOZERO)

2019年から2020年にかけて4カ月間クウェート国内を回ったチェッコーニ氏は、慎重に言葉を選びながら、「クウェートの国民だけが特別なわけではない」と話す。外国人労働者が冷遇されていることについて「部外者が批判するのは簡単です。でもある日、気づいたんです。私の国イタリアでも、数多くの外国人が『闇労働』市場で働いています。しかも、私たちイタリア人のために働いているのです。彼らの存在は、表には出てきません。けれどこの国では、それがはっきりと目に見えています」

「私はクウェートに来て、自分自身と自分の国が露(あら)わにされたような思いを抱きました。ここでは、すべてが白日の下にさらされています」

建国記念日の2月25日に、スビヤで開催された砂漠の凧(たこ)揚げ大会。1961年にクウェートが英国から独立したことを記念する日だ(PHOTOGRAPHS BYGABRIELE CECCONI, PARALLELOZERO)
クウェートの伝統的な服装をした外国人労働者。クウェートでは、人口の70%が外国人労働者で占められている。背景の建物は、古代クウェートの住宅を再現して建てられたショッピングセンター(PHOTOGRAPHS BYGABRIELE CECCONI, PARALLELOZERO)

(文 WERNER SIEFER、写真 GABRIELE CECCONI, PARALLELOZERO、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック)

[ナショナル ジオグラフィック 日本版サイト 2022年7月7日付]