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「ひらめき脳」は「居眠り」と「ながら」で作られる?

脳科学者に聞く「脳」の活性化術

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

企画を出さなくちゃいけない、アイデアが欲しいと言われている、そんなときに山ほどの資料を目の前にして頭を抱えてしまうことがある。「煮詰まったらさっさと別の"脳に負荷をかけない行動"に切り替えたほうがいい」と、公立諏訪東京理科大学工学部教授で脳科学者の篠原菊紀さんは言う。脳科学でわかった「ひらめき脳の作り方」を聞こう。

考えすぎて煮詰まったら、「ぼーっとする」のがいい

――仕事をしていると、「なにかいい切り口はないかな」「アイデアを出さなくては」と焦ることがあります。これ、というものが浮かばなくてずっと考え続けて頭が痛くなったりも…。今回はぜひ、「ひらめくための秘策」を脳科学の視点で教えてください。

篠原さん 確かに頭を抱えていても考え続けてもいっこうにひらめかない、ということがあります。一方で、執筆をするときなどにいい文章が出てくることも、いくらでもあります。つまり、ひらめいているときには悩まない。でも、ひらめかないときもあるから悩むんですよね。

――まさにそうだと思います。頭を抱えてうんうんうなっているときには脳はどのような状態なのでしょう。

篠原さん 考え詰めているときには、脳では「実行機能ネットワーク」が働いています。これはタスクを処理するためのネットワークで、思考や行動をコントロールしながら課題解決に向かっていくもの。その神経基盤は脳の前頭葉、頭頂連合野などに存在します。

一方、創造力やアイデアなど「ひらめき」と関わるのが「デフォルト・モード・ネットワーク」という神経活動です(参考記事「脳を鍛えるコツ3つ 脳トレは筋トレより早く効果あり」)。脳の内側前頭前野、後帯状皮質など脳の複数の領域が活性化します。デフォルト・モード・ネットワークは、ぼんやりしているとき、お風呂に入っているとき、散歩しているときなどに活性化することがわかっています。

――確かに、シャワーを浴びているときに、「これ、いいかも」とひらめくことがわりとあるように思います!

篠原さん そのときにはデフォルト・モード・ネットワークが働いているはずです。脳がこのモードになっているときには、自分の体験や様々な記憶情報を脳が物語として作り直しています。ぼんやりしているときになんとなく人生を振り返ったり、つながると思わなかったもの同士につながりを発見したりする、つまり「ひらめく」ことが起こりやすいのです。

デフォルト・モード・ネットワークを活性化するには、以下のような行動がお勧めです。

・ぼんやりする
・散歩する、歩き回る
・トイレに行く
・水回りの掃除をする
・料理をする
・音楽を聴く(詳細は後述)

どれも、うんうん頭を抱えている状態とは逆の、ルーティンでできる行動である、という共通点があるわけです。

「まどろみ」で課題解決へのひらめきが2.7倍に

――考えても煮詰まってしまって答えが出ないときには、じっと机に向かっていないで別のことをすると、神経ネットワークの新たなつながりが作られるのですね。煮詰まったらさっさと別の行動をする、という切り替えが大切ですね。

篠原さん その通りです。

ちなみにぼーっとする、という状態は「まどろみ」のときにも起こります。面白い研究が報告されているので紹介しましょう。

うつらうつらする「まどろみ」。この状態のときにひらめきやすい、ということを経験的に知っていた発明家であり起業家のトーマス・エジソンは、そのひらめきのタイミングを自分で察知するために、ボールを持ちながら昼寝をしていたそうです。そうすると、うとうとし始めたときに手に持っているボールをポトッと下に落とす。そのタイミングがひらめきのときだというのです。

興味深いことに、2021年にフランスのソルボンヌ大学が「エジソンのひらめき」を模した実験を行っています。

この研究では103人の参加者が数学の問題に取り組み、休憩時にペットボトルを持ちながら休憩する、ということが行われました。すると、被験者がまどろみ、ペットボトルを落とした直後にはやたらと数学の問題が解けた、という結果が得られたのです。まどろみ状態で少なくとも15秒過ごすと、課題に隠されたルールを発見する機会が2.7倍になったのです(下グラフ)。

――2.7倍とは! すごいですね。

篠原さん 脳波の状態を調べると、深く眠る状態のときに出る脳波が多すぎるとひらめくのが難しく、寝入る前のまどろみの少しゆるい脳波、N1という状態の後にひらめきやすくなる、という説明がされています。この「まどろむことでひらめきや創造力を引き出す」という方法は、エジソンだけでなく、スペインの画家、サルバドール・ダリも行っていたという話もあります。

――確かに、ちょっとうとうとしてしまった、という後には仕事がはかどることがあります。日中に眠くなったら適度に居眠りするのがいい、という話は聞きますが、「寝過ぎないようにペットボトルを持つ」というのは浅い眠りの段階で目覚めるためのいいアイデアでもありますね。

まどろみ後にはひらめきが2.7倍に上昇

聞き慣れた音楽をBGMにするとミスが起きにくい

――他にもなにか、思考作業をするときに実践できるようなことはありますか?

篠原さん 「ながら作業」がお勧めです。

タスクを2つ同時に抱えていると、時間がたつごとにミスが増えてきます。しかし、音楽を聴きながら同じタスクをすると、ミスが起きにくいという研究があります。

――それもわかる気がします。音楽を聴きながら仕事をすると、不思議とはかどるときがあります。でも、音楽の選択肢も多いですよね。そのときに聴く音楽はどんなものがいいのでしょう。

篠原さん 脳の前頭葉にある脳のメモ帳、ワーキングメモリに負荷を与えないものがいいですね。歌詞があってつい聞き込んでしまうような歌は無意識でもワーキングメモリに負荷をかけてしまう。歌詞がないもの、あるいはすごく聞き慣れていて、さらさら流れていくような曲を選ぶといいでしょう。

実は私も音楽と脳について研究を行っており、音楽を聴きながら作業をしているときには、脳の「側頭頭頂接合部」「頭頂連合野」、そして冒頭でも説明した「デフォルト・モード・ネットワーク」の活性が高まることを確認しました。いずれも「ひらめき」に関わる脳の部位です。

――創造力や「ひらめき」について、脳科学ではいろいろな研究が行われていることがよくわかりました。とはいえ、なかなか「気分を変えよう」という気持ちにまで至らないことがあります。資料の山を読み込むときなどはしんどいです。

篠原さん でもそれは、ひらめきを導き出すために必要な作業なんですよ。

ひらめくにも、その神経ネットワークがつながるための元の素材が入っていないとつなげようがありません。「考えに考えて、それでも思いつかない」と思う状態までは、とことん考えないとだめ、詰め込まないとだめ。そこまでやった状態でぼーっとしていると、答えが出るときは出るものです。出ないときには今回挙げたような、ぼーっとできる、気分転換の行動で切り替えてみましょう。

◇   ◇   ◇

次回は、「話すこと」「書くこと」といったアウトプットによって「ひらめき」を導き出す脳のプロセスについて聞く。

(ライター 柳本操、グラフ制作 増田真一)

篠原菊紀さん
公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授。医療介護・健康工学研究部門長。専門は脳科学、応用健康科学。遊ぶ、運動する、学習するといった日常の場面における脳活動を調べている。ドーパミン神経系の特徴を利用し遊技機のもたらす快感を量的に計測したり、ギャンブル障害・ゲーム障害の実態調査や予防・ケア、脳トレーニング、AI(人工知能)研究など、ヒトの脳のメカニズムを探究する。

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