システム構築丸投げにしない 事業を成功に導くカギは『システムを作らせる技術』

業務改革プロジェクトを進める上で社内外との意思疎通は欠かせない

IT(情報技術)を抜きに、生産や販売、人事など業務改革のプロジェクトを進めることはできない。本書『システムを作らせる技術』は、こうした業務改革を進めるシステムの発注者と、システム構築を担うITベンダーの双方に目配りをしつつ、熟練の経営コンサルタントがプロジェクトの進め方、その注意点について詳細に記した指南書だ。書名の「システムを作らせる」にあるとおり、目線をシステムの発注者の側におき、そのスキルやノウハウ、心構えを説く。初学者や門外漢の読者には、400ページ近い分量に加え、内容も専門用語が並び、とっつきにくい印象だが、プロジェクトが全体としてこうして進むのか、何に気をつけたらいいのかといった点を理解するうえで参考になりそうな一冊だ。

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著者の白川克、浜本佳史の両氏は、日本ユニシスのグループ会社であるケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのコンサルタント。白川氏はプログラマーとしてキャリアをスタートさせ、ケンブリッジ入社後は顧客企業の業務改革やシステム構築、ビジョン策定などのプロジェクトで数多くの経験を積み重ねてきました。一方の浜本氏はソフトウエア会社を経て、ケンブリッジで顧客の戦略策定や事業企画、組織変革などを担当し、現在は関西オフィスで地元企業の成長と変革支援にあたっています。

著者の白川氏
著者の浜本氏

業務全体を語れるか?

本書では、プロジェクトの進行を、段階を踏んで全26章で記述しています。まず、ゴール(目標)を明確化することに始まり、次いで現状の調査や分析、そしてどのように改革すべき業務は何か、どのような業務改革システムを発注するか、誰に発注するか(パートナーの選定)、その後、構築されたシステムをどのように検証し、導入・稼働にこぎつけるか、といった視点です。システムを構築する上で必要なのは、当然ながら導入のコスト・納期と、その結果による業務改革の効果です。

もちろん、あらゆる項目(機能)を追加すれば、より優れた効果をもたらすことが期待されますが、当然、コストも膨らみ予算だけでなく納期も長くかかります。

そうならないためにはどうすべきか。著者は、まず現在の業務の精査と、システム導入でどのような効果を求めるか、つまりコストを抑えつつ改善したい点を絞り込むことが重要だと指摘します。長く、コンサルタントとしてこうした業務改革のプロジェクトの支援に携わり、いくつもの成功例・失敗例をみてきた経験を生かし、数多くの事例を挙げて解説を試みています。

例えば、プロジェクトを進めシステムを構築する上で、ベースとなる考え方は何か。著者が強調するのは、Why(プロジェクトがなぜ必要なのか)→How(どのようにシステムを構築したらいいのか)→What(そのために何をするのか)の発想が必要だと説きます。

例えば、プロジェクトの目標設定では、(1)使えるゴールにせよ(2)地に足のついたゴールにせよ(3)なんのためのプロジェクトかをゴールやコンセプトに込めよ(4)ゴールのわかりやすさにこだわれ、といった具合です。コンサルタントならではの短い言葉で語る要点整理と課題解決の提示は全編を通じて共通した特徴でもあります。

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システムを稼働に移す時に求められること
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