「丸ごと!!カレイバーガー」。カレイは尾の付け根にだけ全体をつなぐ骨が残るが、その他は丸ごと食べられる(TREE & TREE’sでは単品販売はなし)

「丸ごと!!カレイバーガー」の衝撃

一方、バーガー類で注目したいのは、9月に期間限定メニューとして登場した「丸ごと!!カレイバーガー」だ(同店ではフライドポテト付き、990円。好評なため終売は未定)。甘辛しょうゆだれを塗った揚げカレイが一尾丸々バンズに挟まれたインパクトのあるメニューで、タルタルソースをかけた千切りキャベツと合わせている。バンズがなければ居酒屋メニューそのもの。パリパリの尾びれはまさに酒のつまみで、ハイボールを喉に流し込みたくなること必至だ。

「丸ごとカニバーガー」。カニの味を引き立てるオニオンスライス、レタス、チェダーチーズをカニと一緒にバンズに挟んだ。同店のフライドポテトは、北海道産のマチルダという、ねっとり甘みが強い珍しい品種を使用。「くせになる味」(浅田さん)だ

このメニュー、実は浅田さんが商品開発の定期プレゼンテーションの際、単なる「面白ネタ」として出したものだった。カレイは、5枚おろしにして、頭を取り、骨、内臓を抜いてから元の形に戻した冷凍品で、懇意の業者から「こんなものがある」と紹介された食材。「面白いと思ったけど、本気でメニュー化しようとは思ってなかった」と言う。

通常、プレゼンの場に出す料理は作り込んでいるのだが、「ネタ」だった「丸ごと!!カレイバーガー」は、ぶっつけ本番。当日まで、カレイを揚げてみたこともなかったそうだ。ところが、「こんなにおいしいフィッシュバーガーを食べたのは初めて」と参加者に絶賛され、商品化することに。丸ごと揚げてあるためか魚のうま味がたっぷり感じられる一品だ。

同店では、ドムドムハンバーガーが2019年に期間限定で売り出し、大きな話題を呼んだ「丸ごとカニバーガー」(1390円、フライドポテト付き)も定番メニューにラインアップする。殻ごと食べられるソフトシェルクラブを1匹まるごと使ったバーガーで、人気のあまり昨年オープンしたドムドムハンバーガーの浅草花しき店では、定番メニューとした商品。同店ではなんと1日450個も売ったことがあるお化け商品だ。

藤崎さんのリクエストでメニューに加わったという「ハトシ」

ところが、「ツイッターの反応を見ると、『丸ごとカニバーガー』を発売したときより、『丸ごと!!カレイバーガー』の方が投稿が多いぐらいで驚いている」(同社広報、近藤彰さん)そう。「カレイバーガー」はほかのドムドムハンバーガーでも食べられる商品なのだが、TREE & TREE’sでは、前述のように他店とはバンズが異なるほか、フライドポテトとのセット販売になるため、ハンバーガーによく使われるピクルスの代わりにガリが添えられている(ガリはイートインのみ)。これがまた酒のつまみになる。「カニバーガー」のように、ぜひ定番化してほしいものだ。

そのほかにも、同社の名物社長・藤崎忍さんの好物である、エビのすり身をパンに載せて揚げた「ハトシ」(590円)やアヒージョなどもメニューに並び、あれこれ頼みたくなる。料理のレシピを考えるのがめちゃめちゃ好きという浅田さんは、営業が軌道に乗れば、新しいメニューをどんどん増やしたいといい、これからも楽しみだ。

ワギュウバーガー 和牛一頭買いから出る極上のスネ肉バーガー

今年4月に東京・日本橋のコレド室町テラスに開店したWagyu Burger店内

さて、TREE & TREE’sが「ファストフード居酒屋」なら、Wagyu Burgerはグルメバーガーの王道をいく店。ただし、100パーセント和牛のパティを用いながら酒に合うハンバーガーを出す珍しい店だ。和牛の使用をうたうハンバーガー店は増えているが、その繊細な味わいゆえに酒との相性は必ずしもよくない。先にも書いたが、あっさり健康的な味わいゆえに、必ずしも酒を飲みたくはならないのだ。ところが、たっぷり150グラムの和牛パティを使ったこの店の看板商品である「THE和牛バーガー」(1430円)を一口食べれば、コーラではなく酒を飲みたくなること請け合いだ。

同店を経営する平城苑は1970年創業の老舗。A5ランクの和牛の一頭買いにこだわり焼肉店を展開してきた。しかし、一頭買いをすれば、どうしても焼き肉には適さない部分がでてくる。その一つが、「THE和牛バーガー」に使われているスネ肉だ。よく動かす部位なので味が濃いが硬いため、使用するにはひき肉にしたりよく煮込んだ料理としたりする必要がある。

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和牛のネックでつくった「和牛ベーコン」が絶品
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