アルコールが毛細血管を拡張し、粘膜を過敏にする

さて、花粉症の正体が大まかに分かったところで、本題である「花粉症とアルコールの関係性」について、大久保さんに伺っていこう。

「花粉症の方がお酒を飲むと、症状は間違いなく悪化します。お酒を飲むと、アルコールによって、体の毛細血管が拡張するからです。このとき、鼻の粘膜が腫れ、一層敏感になり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった花粉症の症状がひどくなります。また、アルコール代謝の過程で生成されるアセトアルデヒドによってアレルギー症状を引き起こす『ヒスタミン』の放出が促されることで症状が悪化するとも考えられています」(大久保さん)

ああ、やっぱり。実感通り、花粉症とアルコールの相性は良くなかったのか(涙)。症状を悪化させたくなければ、酒を飲むのをやめるしか策はないのだろうか。

花粉症の人が帰宅して酔ったまますぐ寝てしまうと、花粉症の症状が悪化してしまうことがある(写真はイメージ=PIXTA)

「そんなことはありません。基本的な対策としては、酔っぱらった状態で眠らないこと。つまり、お酒がさめた状態になってから眠るようにしましょう。そのためには、二日酔いになるまで深酒をしないことが大前提になります。たしなむ程度に飲めば、翌日、花粉症の症状がひどくなるのを避けられます」(大久保さん)

酔っぱらったまま寝ると、毛細血管が拡張し、粘膜が腫れたまま眠ってしまうことになる。すると、翌朝まで花粉症の症状が悪化した状態が続いてしまうのだという。また、二日酔いになると、それが収まるまでは花粉症の症状もひどくなりやすいと考えられる。

確かに、花粉症の酒好きの多くが体験しているように、深酒をしたときほど、翌日の症状がきつくなる。つまりは、「症状を悪化させたくなければ、飲み過ぎないようにする」ということが第一なのだ。

「深酒をしないということに加えて、外から帰ってきたら入浴などの際に体についた花粉を落とし、寝る前に点鼻薬でケアをしておけば、さらに症状の悪化の緩和が期待できます」(大久保さん)

眠くなる花粉症の薬が悪酔いを誘発

ところで、「花粉症の薬を飲んでいるときに飲み会に行くと、いつもより悪酔いする」ということも実感している。そもそも服薬中に酒を飲むこと自体間違っているとお叱りを受けそうだが、酒好きはついついやってしまいがちだ。

「花粉症の薬の中でも、ポララミン(一般名:d-クロルフェニラミンマレイン酸塩)などの眠くなる抗ヒスタミン薬を飲んでいる方は、お酒を控えたほうが無難です。これらを飲むと、脳にあるヒスタミン受容体がブロックされるのですが、その状態でアルコールが入ると、脳に与える影響が大きくなり、眠気をはじめとする副作用もひどくなります。日常的にお酒を飲む方は、眠気を誘発しない薬を病院で処方してもらいましょう」(大久保さん)

大久保さんによると、花粉症の薬の中でも「第三世代」と呼ばれるルパフィン(一般名:ルパタジンフマル酸塩)、ビラノア(一般名:ビラスチン)、ザイザル(一般名:レボセチリジン塩酸塩)などが「眠くならない薬」にあたるそうだ。これらの薬は、脳の関門を通過しないよう成分のサイズが大きくなっており、眠気が起こりにくくなっている。

そして大事なのは、「市販薬で済まさず、できるだけクリニックなどで薬を処方してもらうこと」だという。

「市販薬といっても、もともと処方薬だったものが市販薬として入手可能になったものもあり、選択肢は広がっています。ただ、第三世代の薬は医師でなくては処方できません。その人の症状や生活パターンに最も適した処方薬がありますので、面倒でも病院で飲み薬と点鼻薬、点眼薬を処方してもらうことをお勧めします」(大久保さん)

花粉症のシーズンの耳鼻咽喉科は混み合うだけに、市販薬で済ませている人も少なくないはず。市販薬では花粉症の症状をうまく抑えられない、花粉症シーズンに酒を飲むと眠気が出て困る、という悩みを持つ人は特に、病院で薬を処方してもらうようにしよう。

つまみは「脂の多い肉類」を避ける

それでは先生、花粉症の症状が悪化しにくいお酒やおつまみの種類はあるのでしょうか?

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