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1対1の対話を通じてクライアントの行動変容や目標達成を支援するコーチング。発祥の地である米国では、経営者や組織のリーダーが専属のコーチをつけるのはもはや常識とされている。日本でもその効果が知られるようになり、コーチをつけたりコーチングを学んだりする人が増えてきた。2021年に大手コーチングスクール「CTIジャパン」を運営するウエイクアップ(東京・品川)の最高経営責任者(CEO)に就任した平田淳二氏(49)は、経営コンサルティング会社のKPMGの元コンサルタント。自身のキャリアと人生観を大きく変えることになったコーチングとの出合いとは。

就職氷河期を経験、『7つの習慣』で目覚める

30歳で会計事務所系のKPMGに入社し、コンサルタントになる前、平田氏は人生の暗いトンネルの中にいたという。明治大学を卒業した1994年はちょうど就職氷河期。第1志望だったソフトバンクには縁がなく、オフィス向けの機器・システム販売会社に就職した。

営業部門に配属されたが、先輩たちが入社10年、15年経ってもノルマの数字に追われている姿を見て「自分はこうはなりたくない」と1年で退職。しかし具体的な展望もなく、後ろ向きな理由で辞めた若者に、冷え込んでいる転職市場で戦う術はない。仕方なく知人の紹介で小さな食品会社に入れてもらった。

「今思えば本当に浅はかですが、当時はこんな小さな会社なんてとナメていました。そんな態度ですから、当然、仕事の成果も上がりません。お客さんや同僚からも信用されず、何もかもうまくいかない。すっかり落ちぶれていました。でもある時、たまたまスティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』を読んでハッとしました。このままでは『信頼残高』を落としていく一方で、僕の人生はダメになってしまう。まずいぞと」

改心して真面目に取り組み始めると、徐々に会社でも認められ、大きな仕事も任されるようになった。やっとトンネルから抜け出せると安堵すると同時に、欲が芽生えてきた。紹介で入れてもらった会社だけに申し訳ない気持ちもあったが、大手のコンサルティング会社で活躍したいという気持ちが日に日に高まり、転職活動を開始。数社受けた中で、KPMGから採用通知を受け取った。

ウエイクアップCEO 平田 淳二氏

ウエイクアップCEO 平田 淳二氏

入社後は先輩や同僚の論理的分析力と高い説明能力に圧倒されながらも、早くそのレベルに追いつこうと必死で勉強した。仕事は面白く、成長の実感もあった。だが、知識武装だけでは解決できない悩みにぶち当たる。

「クライアントとのコミュニケーションがどうもうまくいかないなと。業務改善のために管理職から派遣社員までさまざまな役職の人からヒアリングをするのですが、『なぜその業務をやっているのですか』『どんな意味があるのですか』とつい相手を問い詰めてしまうのです。それは『あなたがやっている仕事には意味がないからやめた方がいい』と思っているからなのですが、現実の世界ではこれまでのやり方を変えるのは簡単ではない。それなのに相手の状況や心情を無視して理詰めで説得しようとしていたのです」

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