コロナ禍で「うちの会社、大丈夫?」 ITで「手に職」

長引く新型コロナウイルス感染拡大で経済の先行きは不透明だ。転職意欲へのブレーキにはならないのだろうか。第二新卒などの採用支援を手がけるUZUZ(ウズウズ、東京・新宿)が自社ユーザーを対象に実施した調査によると、在職者(第二新卒にあたる世代)の33.8%がコロナ禍によって「転職意欲が上がった」と回答しており、「下がった」(10.3%)を大きく上回った。

「UZUZ若者キャリアレポート<2021夏>」から抜粋

転職意欲が上がった理由として、働き方の変化を挙げる人が多い。職場の休業や在宅勤務によって自由に使える時間が増え、選考もオンライン形式が広まったことから、働きながら転職活動に取り組みやすくなった。加えて、「うちの会社・業界の先行きは大丈夫だろうか?」という不安も大きい。

先述のAさんも転職を考えたのは、前職の会社が「コロナに対応しきれていなかった」ことが大きな理由だ。「会社の体質として会議はほとんど対面で、オンライン対応ができていなかった。あと2~3年は業績も厳しい状況が続き、下手をすると会社がつぶれるかもしれないと感じた。ITエンジニアなら、もし会社がなくなってもスキルや人脈が手に入り、つぶしがききそうだと思いました」と語る。

UZUZの川畑翔太郎専務によれば、20年3月頃からITエンジニアへの転職を希望する人が増えた。「コロナ以前からIT業界の求人は増加傾向でしたが、求職者側で『なりたい』という人がそこまで多くなかった。コロナ禍という不安定な環境でも需要のある業界で手に職をつけ、企業に頼らずに生きていけるスキル・能力をつけることが安心感につながっている」と話す。

安定志向が変化し、有名企業・大企業=安定ではなくなり、「手に職」「独立してもやっていけるスキルを持つこと」が自身のキャリアの安定になるという考え方だ。

「リセット感覚」に戸惑い 人事の本音

川畑さんは「リモートワークが常態化したことで、帰属意識も低くなっている」とも指摘する。広告会社の採用担当者も、「コロナ禍で社内の関係を築きにくくなって、早期にキャリアチェンジを考える人が増えている印象があります。採用候補者から、入社したけど1年間会社に行っていないです、という発言も聞き、人間関係がうまくいっていないのかなと感じる場面もあります」と語る。

第二新卒の転職者からは「今の会社にもずっといるつもりはない」という声が多く聞かれた。会社を身軽に変えていく時代だが、ある機械メーカーの人事はこんな本音を打ち明ける。

「自分たちの世代と違って、引っ越しくらいの気持ちで転職している人が多いのかなという印象があります。正直に言うと、面接をしていてもパリッとしないというか……。志を感じない人が増えている。結果として今の職場が合わなかったとしても、在職中に何を身につけられたのか、そのうえで次のキャリアで何を実現したいのかを知りたい。“リセット感覚”で転職する人はいらないですね」

転職が一般化しつつあるとはいえ、採用側にこうした厳しい本音があることも事実だ。次回は第二新卒転職の甘くない実態と、プロに聞いた転職活動のコツをお届けする。

(ライター 中山明子)

「キャリアをつくる」の記事一覧はこちら