不二製油グループ本社の信達等上席執行役員「持続可能性求める流れ、今後も」

ESG投資の専門家の間で、不二製油グループ本社の海外規制対応は日本企業の先行指標とされています。2021年6月に公表した「大豆のサステナブル調達方針」策定の経緯と、対応の進捗状況について、同社の上席執行役員で最高経営戦略責任者(CSO)を務める信達等(しんだち・ひとし)さんに聞きました。

――チョコレート等の原料のパーム油の国際認証を取得したのは、海外の取引先からの指摘がきっかけだったそうですね。大豆についてはどうですか。

信達等・不二製油グループ本社上席執行役員最高経営戦略責任者

「大豆のサステナブル調達方針を策定することは当社独自の判断で決め、専門家の指導を受けて内容を詰めました。当社は創業時から半世紀以上、大豆の研究に取り組んでおり、大豆は重要な原材料です。大豆は新興国などでの人口の増加に伴う食の課題を解決し、健康志向に対応するうえで重要な食材です。ただ同時に、一部の地域では大豆の作付面積を増やすため森林や生態系を破壊したり、先住民や農業従事者の権利を侵害したりといった課題が発生していることも認識していました。大豆ミートや豆乳製品の事業を今後も拡大していくうえで、環境や人権に配慮した調達をしていく必要性を感じました。購入・取引・加工・販売について、当社の全グループ会社と全てのサプライヤーに適用します」

――パーム油の国際認証を取得した時の経験が生かせそうですか。

「はい。取引先の協力を得ながら、誰がいつ、どこで生産したのかなどの履歴を追跡・把握し、持続可能であることを確認・説明していきます。2020年に『責任ある大豆のための円卓会議(RTRS)』という団体に加盟しました。日本企業では当社が第1号だそうです。大豆はパーム油に比べて手法が確立していない部分もあると聞いています。専門家の指導を受けながら、方法を確立していきます」

――大豆・大豆製品の輸入先が主に北米なら、履歴はすぐに追跡・把握できるのではありませんか。

「そうでもないようです。第1段階として2025年までに第1集荷場所まで確認を終える予定です。特にその先のコミュニティーレベルまでの追跡はかなり大変と聞いています。また当社は大豆だけを購入しているのではありません。脱脂大豆などの加工品も購入しています。多くの関係者が取引に関与しており、全容を把握するのは労力と時間がかかります」

「原材料の調達について、持続可能性を担保するよう求められる流れは今後も続くでしょう。気候変動などとの関係で、世の中の人々が大豆に注目するようになりました。早期に調達網の末端まで把握・確認し、持続可能だと説明できる状態にすることは、当社の大豆製品の信用力・価値につながると考えています。今や多国籍企業とパーム油を取引する際にはRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の認証取得は必須です。同様にRTRSも大豆の認証で同じように発展していくと期待しています」

――大豆調達方針は新型コロナウイルス感染拡大のさなかの公表でした。どんな影響を受けましたか。

「現地調査には支障が出ています。取引地域に駐在する人材や、現地で信用のおける機関が調査することになりますが、感染拡大の状況によっては自由に動けないこともあるようです。今後も粘り強く取り組んでいきます」

(毛利靖子)

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