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大豆ミートに潜む調達網リスク 森林破壊や人権侵害

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NIKKEI STYLE

牛肉などに比べ環境負荷が少ない大豆ミート。原料の大豆の需要が急拡大する一方で、森林破壊や人権侵害のリスクを懸念する声もあります。大豆ミート国内最大手の不二製油グループ本社は大豆調達網の点検を始めました。

近年はESG(環境・社会・企業統治)投資家の要請で、農産物などの調達網に潜むリスクを把握し適切な予防策を講じる「デューデリジェンス」がさかんです。いずれ大豆も対象になると判断しました。

米調査会社などによると、牛肉の可食部1キログラムが食卓に届くまでの二酸化炭素(CO2)排出量は、大豆1キロの13倍です。大豆は牛の飼料に使われ、牛肉の可食部1キロを生産するには大豆飼料20キロが必要です。食肉増産に伴う大豆畑の拡張は、世界の森林破壊の4大要因の1つとされます。大豆生産に従事する人が、極端な低賃金で働いている問題も指摘されています。

不二製油グループ本社は丸大豆、脱脂大豆、分離大豆タンパクについて、2025年までに第1次集荷場所まで遡ってトレーサビリティー(生産履歴の追跡)を確保する予定です。さらに30年までには、購入先の農家・農地についても把握する計画です。

点検のポイントは、森林を破壊した農地で栽培していないか(森林破壊フリー)、労働条件等で人権侵害がないか(搾取ゼロ)です。スイスに本拠を置く非政府組織(NGO)「責任ある大豆のための円卓会議(RTRS)」から国際認証を取得する予定です。RTRSの会員には海外の食品大手や穀物メジャーが含まれ、不二製油グループ本社は日本企業として初めて加入したといいます。

同社が輸入する大豆・大豆製品は主に北米産で、一部は中国産です。アマゾンの森林破壊が問題になった南米産は使っていません。ただ、産地に関係なく、大豆製品の取引で「国際認証を取得していることが価値になる」(上席執行役員の信達等氏)時代が近づいていると考えています。

念頭にあるのは、欧州連合(EU)の動きです。21年秋には森林破壊で開発された農地で生産された原料や製品の輸入を認めないとの規則案を公表しました。

大豆ミートを含む代替タンパク食品需要は今後も増えそうです。富士経済によると、30年の市場規模は3兆2000億円と10年で3倍に成長し、このうち半分は植物性が占める見通しです。ファミリーマートは17年4月から弁当やおにぎりに不二製油製を含む大豆ミートを使っています。来店客の反応はよく、今後も大豆ミートを使った商品の販売を続ける予定です。

不二製油は15の国・地域で事業展開し、海外売上高比率は6割です。チョコレートなどの原料になるパーム油の調達網点検や国際認証取得でも、日本企業のなかでは先行しました。大豆でも追随する動きが広がりそうです。

不二製油グループ本社の信達等上席執行役員「持続可能性求める流れ、今後も」

ESG投資の専門家の間で、不二製油グループ本社の海外規制対応は日本企業の先行指標とされています。2021年6月に公表した「大豆のサステナブル調達方針」策定の経緯と、対応の進捗状況について、同社の上席執行役員で最高経営戦略責任者(CSO)を務める信達等(しんだち・ひとし)さんに聞きました。

――チョコレート等の原料のパーム油の国際認証を取得したのは、海外の取引先からの指摘がきっかけだったそうですね。大豆についてはどうですか。

「大豆のサステナブル調達方針を策定することは当社独自の判断で決め、専門家の指導を受けて内容を詰めました。当社は創業時から半世紀以上、大豆の研究に取り組んでおり、大豆は重要な原材料です。大豆は新興国などでの人口の増加に伴う食の課題を解決し、健康志向に対応するうえで重要な食材です。ただ同時に、一部の地域では大豆の作付面積を増やすため森林や生態系を破壊したり、先住民や農業従事者の権利を侵害したりといった課題が発生していることも認識していました。大豆ミートや豆乳製品の事業を今後も拡大していくうえで、環境や人権に配慮した調達をしていく必要性を感じました。購入・取引・加工・販売について、当社の全グループ会社と全てのサプライヤーに適用します」

――パーム油の国際認証を取得した時の経験が生かせそうですか。

「はい。取引先の協力を得ながら、誰がいつ、どこで生産したのかなどの履歴を追跡・把握し、持続可能であることを確認・説明していきます。2020年に『責任ある大豆のための円卓会議(RTRS)』という団体に加盟しました。日本企業では当社が第1号だそうです。大豆はパーム油に比べて手法が確立していない部分もあると聞いています。専門家の指導を受けながら、方法を確立していきます」

――大豆・大豆製品の輸入先が主に北米なら、履歴はすぐに追跡・把握できるのではありませんか。

「そうでもないようです。第1段階として2025年までに第1集荷場所まで確認を終える予定です。特にその先のコミュニティーレベルまでの追跡はかなり大変と聞いています。また当社は大豆だけを購入しているのではありません。脱脂大豆などの加工品も購入しています。多くの関係者が取引に関与しており、全容を把握するのは労力と時間がかかります」

「原材料の調達について、持続可能性を担保するよう求められる流れは今後も続くでしょう。気候変動などとの関係で、世の中の人々が大豆に注目するようになりました。早期に調達網の末端まで把握・確認し、持続可能だと説明できる状態にすることは、当社の大豆製品の信用力・価値につながると考えています。今や多国籍企業とパーム油を取引する際にはRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の認証取得は必須です。同様にRTRSも大豆の認証で同じように発展していくと期待しています」

――大豆調達方針は新型コロナウイルス感染拡大のさなかの公表でした。どんな影響を受けましたか。

「現地調査には支障が出ています。取引地域に駐在する人材や、現地で信用のおける機関が調査することになりますが、感染拡大の状況によっては自由に動けないこともあるようです。今後も粘り強く取り組んでいきます」

(毛利靖子)

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