役職には固執しない

あなたの会社に、仕事はできないのに偉そうな部長がいたり、成果を出し続けているのにマネジャーから昇格できなかったりする人がいないでしょうか。

役職というのは、必ずしも能力に比例しているわけではなく、そのときの状況やタイミングで決まってしまうことがあります。

転職業界に、こんな笑い話があります。会社に採用面接を受けに来た50代ぐらいの人に「これまでの経験から、どんなことができますか?」と質問したところ、「部長ならできます」と答えたという話です。

本来なら、「部長の役割としてやるべきことは何なのか」を考えて伝えるのが就職活動ですが、そうした発想すら持っていなかったのです。

役職や肩書にあぐらをかいてしまうと、リストラされたり、窓際族になったりする可能性も高くなります。そして、そういう人ほど保身に走り、自分を守る行動に力を入れて、成果を出すことよりも社内政治に必死になるなどの悪循環に陥ります。

社内政治は、自分の仕事を達成するための手段としてするのは仕方ないですが、自分の保身を目的に行動していては、会社にとって何のメリットもありません。このサイクルに陥ると、たとえどんな役職であっても、最後は会社にしがみつくしかなくなってしまうでしょう。

役職はあくまで会社の中における役割にすぎません。どんなに偉い役員でも、何の情報もなく外から見れば、ただのおじさん・おばさんです。

もちろん、社内で評価されてポジションを上げていくことはとても大切です。ですが、あくまでポジションはその会社における役割でしかありません。市場からの評価とは「会社の外に出たときに、何ができるか」です。

今の会社では部長かもしれませんが、労働市場に出たときに、自分はどのポジションでオファーをもらえるのか。

それを忘れてしまうと、恐ろしい未来が待っているかもしれません。

(構成:日経BP 中野亜海)

moto(戸塚俊助)
 1987年長野県生まれ。新卒で地方ホームセンターへ入社後、リクルート、スポットライト(現:楽天ペイメント)など何度かの転職を経験し、営業部長や事業責任者などを務める。会社員として働きながら、自身の転職経験を元にしたメディア「転職アンテナ」を立ち上げ、2021年4月にログリーへ事業を売却。現在は起業したmotoの代表取締役を務める。著書『転職と副業のかけ算』(扶桑社)はベストセラーになり、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2020」にノミネートされた。Twitterのフォロワーは12.5万人で「本質的なキャリアや働き方がわかる」など、SNSでカリスマ的な人気を誇る。

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