もう一軒、近江町市場から歩いて5分ほどの場所にシェアキッチンやゲストラウンジ、レストラン、さらにプライベート利用ができるサウナやジャグジーバスを備えて、気ままに滞在できるホテルが「LINNAS Kanazawa(リンナス カナザワ)」だ。

「セルフロウリュウ」も体験可能
コンセプトは、デンマーク語で「満ち足りた」や「居心地のよい」を意味する「HYGGE(ヒュッゲ)」。ひとり旅でワーケーションがしやすそうなデスク付きの部屋やカップル向けのゆったりしたダブルルーム、グループや家族で最大6人まで泊まれる部屋など、どの部屋もシンプルで心地よく過ごせる。歯ブラシやソープ類などの最低限のアメニティは部屋に用意されているが、追加の商品をロビーで販売するのはSDGs(持続可能な開発計画)を考慮してのこと。着心地のよい部屋着のレンタルもある。館内では半年に1度、若手アーティストを2週間ほど招き、彼らが滞在しながら製作した作品が飾られている。

最上階にあるサウナとジャグジーは、おひとりさまから最大4人まで貸切で使える。定員2人のフィンランド式サウナでは、サウナストーンにアロマ水をかけて蒸気を発生させ、室内の温度を一気に上げて発汗を促す「セルフロウリュウ」も楽しめる。棒茶エキスと水を混ぜてかけると香ばしいスチームが立ち込めなんとも気持ちがいい。外気浴ができるテラスもあって、旅の疲れを癒やしてくれる。
宿泊者以外も利用できる1階のレストラン「ケムリとカオリ」は、金沢の食材を香ばしくグリルした炭火焼き料理や薫製料理、シカゴピザがおすすめ。テークアウトもできる。朝食はオムレツやサラダ、パテやローストビーフなどが盛られたボリュームたっぷりのワンプレートにスープとパン、ドリンクがついて1430円(要予約)。
同じく1階には広々したスペースにキッチン器具や什器(じゅうき)も置かれたシェアキッチンがあり、テーブルと椅子が並んでいる。ここでコーヒーを飲んだり、市場で買ってきたものを食べたりしていると、ゲスト同士の交流も自然と生まれそうなエリアだ。古都金沢の非日常的なひとときを、地元の最旬ホテルを拠点に満喫してみてはどうだろう。
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。