加賀藩の御膳所として300年以上の歴史がある金沢市の近江町市場。冬場にはずらりとズワイガニをその場で食べさせるお店や、いい匂いのおでんのお店も登場し、多くの観光客でにぎわう。そんな近江町市場の近くに20年11月開業した真新しいホテルが「SOKI KANAZAWA(ソキ・カナザワ)」だ。

金沢の街や家を思わせるエントランスからの美しいアプローチ。旅の期待感も高まる

金沢の街や家に入り込んでいく気分

SOKIは「素の器」を意味し、「あるがままの自分を取り戻す」場所と旅を目指している。エントランスからレセプションにいたるアプローチは、伝統的な洗い出し仕上げの床の両側に白木の縦格子が並び、金沢の街や家に入り込んでいくかのようだ。チェックインを自動チェックイン機で済ませた後、レセプションにある円形のコミュニケーションテーブルで、地図を見ながらスタッフに旅の予定やおすすめを聞いてみるのもいい。館内には、伝統工芸の街・金沢にふさわしく、実際に使われていた古器などが飾られている。そんなインテリアの由来については、スタッフに尋ねてみるといい。

テーブルはちょっとお茶を飲んだり、ワークしたりするにも便利。壁には館内のスタイリングを手がける「白日」のアート

客室(18〜37平方メートル)内には向かい合って座れるちょっとしたテーブルがあったり、畳でくつろげるスペースが設けられていたり。カップル向けやファミリー・グループ向けなど旅のスタイルに合わせて客室を選択できる。自然の素材感を生かしたインテリアのほか、山中漆器の木地を使った木製湯飲みや地元企業による珪藻(けいそう)土のコースターなど石川県内で作られている品々が置かれている。

街中にあるホテルでありながら、大浴場を備えているのもうれしい。加賀の昔ながらの総湯(公衆浴場)のようなロの字型の湯船と柔らかな光、曲線の天井が旅の疲れを癒(い)やしてくれる。湯上がり処ではコーヒー牛乳や金沢の糀(こうじ)甘酒が無料で飲め、石川県産のヒバの木片にアロマオイルを振りかけ、袋に詰めて持ち帰れる「サシェ作り体験」も提供。部屋に持ち帰り、香りを楽しむのもいい。

ホテルの一階には、一般の人も夕食時に利用可能な小料理の和食店「空潮 / 空汐」がある。約8mの天然木タモ材の一枚板カウンターがひときわ目をひき、土や木などを使った店内のたたずまいも落ち着く。石川県産のおひつご飯をおいしく楽しめる料理がメニューに並ぶが、特に朝食はその日の焼き魚とお味噌汁、15品目ものおばんざいが秀逸だ(1980円)。

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「セルフロウリュウ」も体験可能