友だちと遊ぶように仕事?
ジョブ理論には「強いカードから順に切っていく」「採用率を上げるには、圧倒的言語化力」「選択肢を広げ続けない」「片手は常に空けておく」など、著者が大切している仕事への姿勢や行動様式が並んでいる。これを実際の仕事での経験と重ね合わせて語っていく。
もう一つの共感ポイントは「友だち」というキーワードだ。友だちと遊ぶように仕事をしてきたといい、その最たる存在がフワちゃんだという。フワちゃんとはブレーク前に出会い、「フワちゃんTV」という仕事へと発展した。「他人の魅力の増幅・シェアが大好きになること」が「面白い」を生み出すのに大事なこと、という著者の考え方は意外に企画の本質を突いている。
「ライフストーリーという形で保育園の時代までさかのぼってルーツが語られているのが魅力。著者の仕事への向き合い方や姿勢がルーツから読むと納得できて参考になる」とビジネス書を担当する本田翔也さんは話す。同書店では8月末から先行販売という形で特設の棚に並べており、最初の週はビジネス書トップの売れ行きになったという。
1位は『パーパスモデル』
それでは先週のランキングを見ていこう。
(1)パーパスモデル | 吉備友理恵・近藤哲朗著(学芸出版社) |
(2)企画 | 高瀬敦也著(クロスメディア・パブリッシング) |
(3)会計の地図 | 近藤哲朗・沖山誠著(ダイヤモンド社) |
(4)プロ目線のインスタ運用法 | 石川侑輝著(クロスメディア・パブリッシング) |
(5)視点という教養 | 深井龍之介・野村高文著(イースト・プレス) |
(青山ブックセンター本店、2022年9月5~11日)
1位は、プロジェクトの現場で、みんなを動機づける目的を立て、多様な人を巻き込み、活動を成長させるツールの解説書。たくさんの関係者を巻き込んでいく必要のある地域開発など、さまざまな内外の事例を紹介しながら考え方と実践の仕方を解説する。
2位と3位には1年以上前に刊行された本が並んだ。2位は21年8月の本欄の記事「企画とは決めること ヒットメーカーが語る仕事の本質」で紹介したコンテンツプロデューサーによる企画論。3位は図解でわかりやすく説いた会計の入門書で、著者の1人が1位の『パーパスモデル』と同じで、関連書として浮上したようだ。4位はインスタグラムを使ったマーケティングの方法を具体的に解説した本。5位は「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」というポッドキャスト番組のMC2人と人文系の学者7人による座談集が入った。紹介した放送作家の本は10位だった。
(水柿武志)