薬酒づくり技術を横展開

来年で開業10周年を迎える東京スカイツリー。そのお膝元にある商業施設でにぎわう「くらすわ 東京スカイツリータウン・ソラマチ店」は養命酒製造がプロデュースしている飲食・物販複合型店舗だ。「くらすわ本店」は2010年に長野県諏訪市で開業。ソラマチ店は初の東京都内への出店となる。薬酒やハーブ酒以外で目立つのは「生姜黒酢」のような酢ドリンク。「さっぱりした味わいなので、夏や風呂上がりに飲みやすい」(加藤氏)という。

和漢素材やハーブの知見を生かした商品が並ぶ。「信州十四豚(シンシュウジューシーポーク)」や「信州十四シャモ(シンシュウジューシーシャモ)」も養命酒製造が長野県で手がけるオリジナル食材だ。「実は長野県が発祥の地だということがあまり知られていないところがある。企業のヒストリーと共に、信州の豊かな食を発信していきたい」(鳥山氏)という思いも込めている。

長野県駒ヶ根市にある「駒ヶ根工場・養命酒 健康の森」

「薬用養命酒」をはじめ、主力商品の開発・製造を担うのは、長野県駒ヶ根市にある「駒ヶ根工場・養命酒 健康の森」だ。「薬用養命酒」に使う仕込み水はこの工場の地下から汲み上げている。中央アルプスの山々を巡った清らかな水はミネラルウオーター「養命水」にもなった。

実は「薬用養命酒」のベースになっているのは、特製のみりん。原酒にあたるみりんは、多角化の第1号商品にも選ばれた。同工場では米から造ったみりんに、14種類の生薬を漬け込んで、「薬用養命酒」を製造する工程の一部を見学できる。「年間に約10万人も来場する、人気の高い工場見学。コロナ禍以降はハーブや薬膳のオンライン教室も開催してきた」(鳥山氏)。

薬酒は一定の期間、飲み続けるうち、徐々にメリットを感じていくという性質を持つだけに、「長期間にわたる安全・信頼を伝える取り組みが欠かせない」(鳥山氏)。原料の生薬に関しても、これまでは中国やベトナムなどからの輸入が多かったが、国内調達を増やしていくという。クロモジも駒ケ根工場の敷地内で栽培技術の研究を進めている。

免疫や抵抗力といった言葉がこれほど関心を集めた3年間は過去になかっただろう。「予防意識の高まりにこたえるのは、早くからこのミッションに取り組んできた企業の責務」と、鳥山氏はみる。裾野の広がってきたハーブ酒や食品、機能性表示食品を、有機的に組み合わせた「命の養い方」の提案も組み立てやすくなってきた。「くらすわ」のにぎわいはそうしたニーズの存在を物語る。

豊富なハーブ成分は養命酒製造ならではの強み

大型商品に育ちつつあるジンはもともと、オランダで薬用酒として飲まれていた経緯がある。欧州ではカンパリやアブサン、シャルトリューズなど、薬草・香草系リキュールの歴史が長い。こういった西洋由来のリキュール類に、東洋由来の生薬を深く知る養命酒酒造の知見が加われば、クラフトジンのほかにも「ネクスト養命酒」が誕生する可能性がありそうだ。

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