365日スーツでミドリムシと対話 ユーグレナ出雲充社長スーツ・オブ・ザ・イヤー2021 受賞者インタビュー(3)

「休みなくスーツを着て仕事。それが一番楽しい」と話すユーグレナ社長の出雲充さん(東京都港区のユーグレナ本社で) スーツの生地はスキャバルの「CLASSICSバンチ」。リングヂャケットならではの立体的な縫製で軽い着用感。低いゴージラインと幅広のラペルも魅力(リングヂャケット、オーダー価格27万7200円) 時計はグリーンの文字盤。ピンクゴールドのGMT針は山桜が咲き始めた斜面の風景を表現した(グランドセイコー エレガンス コレクション SBGJ251、81万4000円) 撮影:筒井義昭

「SUITS OF THE YEAR 2021」のビジネス部門受賞者、ユーグレナ社長の出雲充さんの半生は、いちずな「挑戦者」の軌跡といえる。世界から栄養失調をなくしたいと考えた大学時代、多くの栄養素を持つ微細藻類ミドリムシ(学名ユーグレナ)の可能性を知る。「ミドリムシで世界を救う」という信念のもとに起業し、世界初の大量培養に成功した。営業訪問した500社に断られ、資金繰りに窮しながらも地道に顧客を増やし、健康食品や化粧品へと用途を開拓。2021年6月にはミドリムシを原料の一部とするバイオ燃料で飛行機を飛ばしてみせた。こうと決めたらいちずに貫く。目移りや雑念とは無縁に生きる姿勢は、その装いの選択にも表れている。




ライムグリーンのネクタイ トレードマークに

オフィスでも、培養拠点がある沖縄県石垣島でも、海外でも、出雲さんはいつもスーツ姿だ。胸元には必ずライムグリーンのネクタイ。その色は、もちろんミドリムシと深い関係がある。

「石垣島の工場にある培養プールでミドリムシを育てています。最初は無色透明、増えるにつれて緑が濃くなっていき、収穫する頃には黒に近い緑色になる。それを乾燥させてサプリメントにしたりバイオ燃料にしたりします。生育が中ごろの培養液は一番きらきらしていて、こんなきれいなライムグリーン色になる。ネクタイはそれに近い色をネットで探しました。地方で待ち合わせても、あ、ミドリムシが歩いてきたと、すぐに分かってもらえるでしょ」

「どんなに暑くても寒くても、お客様のところにはスーツにネクタイを締めてお邪魔します。石垣島の工場の中は42度くらいで、(ソーシャルビジネスの拠点)バングラデシュは冬でも30度近く、湿度100%ぐらいに感じることがあります。そんな大変なところで頑張っている人が大勢いるのに、たかだか3、4日出張する僕がスーツだから暑い、寒いなんて絶対に言えません。スーツを着ていると、この時間を大切に思っています、という真剣さが相手に伝わります。スーツでリスペクトを表現するんだ、と一度決めてしまえば楽ですよ」

着用したのは、ブラックのつややかなフォーマルスーツだ。重厚感のある上質な生地をていねいに仕上げた美しいシェイプ。肩パッドを入れず、着心地は軽く、腕の動きもなめらか。出雲さんは以前から、きちんと採寸してスーツを作ることに憧れていた。

「作り手の心意気が感じられるスーツですね。プロの方にサイズを測っていただいて作るとこんなに違うんだ、と分かりました。あまりにフィットしているので、着ている感じがしないな、というのが第一印象です。このスーツは勝負どころで一生着ますよ」

SUITS OF THE YEAR 2021

アフターコロナを見据え、チャレンジ精神に富んだ7人を表彰。情熱と創意工夫、明るく前向きに物事に取り組む姿勢が、スーツスタイルを一層引き立てる。

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起業後3年間の苦労 訪問501社目で報われる
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