ミーティング終えてそのまま食事OKの個室

店内のつくりはカウンターにテーブル、ブラインドで仕切れる半個室エリア、さらに個室と一見オーソドックスだ。ところが、この個室、少々エッジが立っており、この店らしさを醸し出している。

大きめのテーブルに5~10人ほどが座れるようになっており、大画面モニター、電子黒板などの機材なども備え付けられている。コピー機やシュレッダーまである。さながら秘密の会議室だ。「ミーティングを終えて、さあどこかに行くかと食事に出るのではなく、そのまま会食まで楽しめたらいいかなと思いまして」と近藤さん。場所柄、弁護士など法曹関係者の利用も多いといい、「機密書類も処理できます(笑)」という。

モニターやシュレッダーのある個室

ビジネスミーティングだけでなく、子連れで気の合う家族同士、子どもの行事のビデオ上映会なども楽しそうだ。

さて、取材をしたり、実際にステーキを味わったりもしながら、同店の一番の特徴は、近藤さんのフレンドリーかつ味のある接客なのではないかと思えてきた。

これまで飲食業界を中心にキャリアを積んできた近藤さん。「大きめの店舗の立ち上げや支配人などをやってきました。今のようなビストロよりも、もう少し派手なお店で、結婚式の2次会や誕生日で使っていただくことも多く、マイクパフォーマンスなんかもやっていました」

「だからというわけでもないですが、こういう調子で今のお店でもお客さんが来られたら、うわーっとしゃべるんですよ。10組のうち1組には嫌われちゃいますね(笑)。でも3組の心はがっちりキャッチします(笑)。クセが強めですが、マニュアル通り、型どおりの接客ではないですね」

カウンターやテーブルが並ぶ店内の様子

近藤さんは持ち前のサービス精神でこのように自分自身を語るが、嫌みな感じは一切ない。逆に客のことを繊細に見ている。「例えば、お酒を飲まれなくてかわりにジンジャーエールなどの炭酸飲料を注文されるお客さんがいらっしゃいますよね。もちろん、お好きならいいんですよ。でも、なんとなく飲み物を注文しないと決まり悪いからとかっていうのもあると思うんですよ。そんなふうに感じるときは、そっと水をお出しします。変に気にせずお食事を楽しんでいただきたいですから。1杯目から水でも全然OKですよ」(近藤さん)

健康志向の高まりなどを背景に、最近は酒を飲まない人も多い。お店に入ってすぐの「お飲みものはいかがですか」という一言がわずらわしい人も少なくないだろう。一般的に、酒は粗利が高く店側からすれば助かる。それでも、型どおりに進めないところが、近藤さんのマニュアルによらない接客スタイルの面目躍如と言えそうだ。ランチ接待も大歓迎という。肩肘張らずに通ってみたい店だ。

(グルメクラブ編集長 桜井陽)

記事内での紹介店

半蔵門ビストロブレインストーミング(東京都千代田区)
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