食事ではなく、つまみとしてのすし「あて巻き」が充実

「半熟卵天丼いくらちらし」(418円)

ほとんどの居酒屋は、シメのお茶漬けを頼むと、ほぼ一膳分のご飯をやや大ぶりの器に盛ってきてくれる。だからいつも、そこまで食えないから、「ご飯半分で」と頼むのだが、それでもサービスのつもりなのかもしれないが、結構な量が来る。だからだしは飲むけど、ご飯は残してしまう。「にのや」の量なら食べきれる。残す罪悪感も持たなくて済む。

量を食べるのが好きな人もいれば、そんなにいらない人もいる。これからの飲食店は、こうした方向を目指さないといけないのではないか。と、考えると、ライスの量を8段階にわたって選ぶことができるカレー専門チェーン店「カレーハウス CoCo壱番屋」の先見性はスゴイと思う。

「にのや」を経営するのは、千葉県が発祥の一家ホールディングス。居酒屋「こだわりもん一家」、博多料理を売りにした「屋台屋 博多劇場」、「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」など、千葉と東京を中心に70店ほどを展開する居酒屋事業などを行う中堅企業だ。東証1部上場企業でもある。

「揚げたてポテトチップス」(363円)は、一度揚げした素材がカウンターにドカンと乗せてあり、注文が入ると、適量を取り出して二度揚げしてアツアツを提供する

西新宿の「おでんトさかな にのや」は2020年6月のオープンで、和食中心の創業業態の「こだわりもん一家」のスピンアウトとして出店したが、比較的好調だったようで、21年4月には東京・有楽町に「寿司トおでん にのや」を開店している。

こちらは、JR有楽町駅から東京駅へ続く高架下。東京国際フォーラム横ではあるが、表通りではなく、薄暗いトンネルのようなところを入った、ほぼ突き当たりにある。

有楽町では新しい試みを実施しており、季節性が強いおでんに加えて「あて巻き寿司」を売り物に据えた。あて巻きとは、食事としてのすしではなく、つまみとしてのすしのことで、多くはすし飯を少なめにし、魚介類をメインにする。ワサビのみかキュウリなどを添えた辛い巻物、通称「涙巻き」もこの類に入るだろう。

2号店である「寿司トおでん にのや」のあて巻きの数々。418円から

立地の良さから、こちらも繁盛している。せんべろ居酒屋や老舗酒場だけが、飲み屋ではない。おいしくて、ちょっとしゃれていて、それでいてリーズナブル。こうした店が今後増えてくるのではないか。

ちなみに西新宿の「おでんトさかな にのや」で払った金額は、おでん3品とお造り、茶わん蒸しに日本酒3杯で3388円だった。席待ちのため前に1軒行っていたため、酒もつまみも少し少なめだったが、きちんと予約していっても4000円前後というところだろう。一人飲みオヤジに優しい店は、財布にも優しい店だった。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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