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一人飲みの胃にも財布にも優しい酒場 日本酒半合から

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「おでんトさかな にのや」という酒場がある。いわゆる老舗系酒場でもせんべろ系酒場でもない。激安ではないが、少し上品で酒もつまみもうまい。一人飲みオヤジにとって、天国のような存在なのだ。

一人飲みオヤジの胃袋にも財布にもえらく優しい

場所は東京・西新宿。横丁の老舗、思い出横丁から通りを渡った旧青梅街道沿いにある。ラーメン好きなら老舗ラーメン店「満来」のある通りというと分かりやすいかもしれない。その路面にある。

売り物は、アゴだしおでんと魚を中心としたつまみ類。「にのや」という店舗ブランド名で呼ばれるが、正式店舗名は「おでんトさかな にのや」と打ち出している。

週末の午後7時過ぎ、「金曜日でも1人だから大丈夫だろう」とたかをくくって、白いのれんをくぐったら「すみません、いま満席なんです」と断られる。席が空いていたので、「入れないの?」と女性スタッフに聞くと、「ごめんなさい。予約済みなんです」とのこと。またやっちまった。仕方がないので席が空いたら電話してもらうことにして、近くの小田急ハルクの地下にある飲食店街「ハルチカ」で時間を潰す。すると、30分ほどで携帯が鳴った。ラッキー!

再び歩いて5分ほどの店に戻る。店内は少々小ぶり。手前に10人分ほどの立ち飲みカウンターがあり、奥にテーブル席がある。全部で30席強か。しかしよく入っている。しかもカウンターはカップルもいるが、ほぼ一人オヤジ。当方もカウンターに通された。

客が入っている理由はよく分かる。一人飲みにえらく優しいのだ。例えば、刺し身の5種盛り合わせ。この日は、生メバチマグロ、ホタテ、コショウダイ、天然カンパチ、寒サワラあぶりというラインアップだったが、驚くことにそのすべてが1貫付け(1切れずつの提供のこと)。要は5切れだ。これはうれしい。

だいたいどんな居酒屋や酒場でも一つの魚種は最低でも2貫付けが普通。それが5種もあると、10貫になる。正直、それだけで腹にたまってしまう。「刺し身を食いに来たんじゃない。酒を飲みたいんだ」という身には、オーバーサービスになってしまう。正直、これで550円は安くはないが、全然不満に思わない。こうした飲み助の気持ちがよく分かっている。

酒もつまみも少しずつ試したいオヤジにぴったり

酒もそうだ。メインは日本酒。「十四代」「磯自慢」「作(ZAKU)」「東洋美人」「日高見」など、有名ブランドをそろえており、全16種。そしてどれも、基本は1合の半分である5勺(しゃく、半合=約90ミリリットル)でグラスでの提供。少しずつ様々な銘柄を楽しむことができる。もちろん1合での注文も可能だが、いろいろなものを少しずつ試したいというのは、女子だけではなくオヤジも同じ気持ちなのだ。ちなみに価格は500~600円台が中心で、こちらもさほど安いわけではないが、悪い気持ちはしない。

様々なつまみがあるなかで、面白いのは、茶わん蒸し。カウンターの両隣の客が小さな黒い器の料理を頼んでいたので、興味を持ってスタッフに聞くと、「茶わん蒸しです」というので、頼んでみた。メニューには「松茸と銀杏の茶碗蒸し」(418円)とある。

5分ほどして出てきた茶わん蒸しは、外見がなかなかかわいい。蓋つきで開けるときのワクワク感がある。そして蓋を取ると、上にはギンナンがぎっしり。よくある炒(い)ったものではなく、蒸しているのだろう。軟らかく食べやすい。これはつまみになる。

そしてギンナンをある程度食べると、下から茶わん蒸しが現れる。具材はマツタケのみ。しかも申し訳程度ではなく、かなりみっちり入っている。これはこれでつまみになる。少しばかり硬めなのも良い。

茶わん蒸しといえば、和食店(最近行ってない)のコースか、回転ずしの最初の1品でしか食べたことがないが、ほぼ同じ仕様で、エビやギンナン、タケノコなどが入って、仕上げにミツバを散らしている。卵もどちらかというと軟らかめなところがほとんどだ。「にのや」は、それをつまみとして食べやすいように、アレンジしている。なかなかよく考えられている。

おでんは、比較的スタンダードだ。アゴだしを売りにしているが、だしの味は控えめで、どちらかというと優しい味わい。塩味も控えめでオヤジに優しい。価格は、特別な品を除けば、100円台。こちらも優しい。

気になったのが、シメの充実度だ。メニュー上は、3種類しかないのだが、「天然ぶりのあご出汁茶漬け」(385円)、「焼きあご出汁のスパイシーカレー」(380円)、「半熟卵天丼いくらちらし」(418円)と一癖も二癖もありそうな品ぞろえ。

しかも、そのすべてが、おひたしを盛るような小鉢での提供だ。ご飯の量は、おそらく、ご飯茶わん一膳の半分にも満たないくらいではないのか。「これだよ、これなんだよ」。声を大きくして言いたい。

食事ではなく、つまみとしてのすし「あて巻き」が充実

ほとんどの居酒屋は、シメのお茶漬けを頼むと、ほぼ一膳分のご飯をやや大ぶりの器に盛ってきてくれる。だからいつも、そこまで食えないから、「ご飯半分で」と頼むのだが、それでもサービスのつもりなのかもしれないが、結構な量が来る。だからだしは飲むけど、ご飯は残してしまう。「にのや」の量なら食べきれる。残す罪悪感も持たなくて済む。

量を食べるのが好きな人もいれば、そんなにいらない人もいる。これからの飲食店は、こうした方向を目指さないといけないのではないか。と、考えると、ライスの量を8段階にわたって選ぶことができるカレー専門チェーン店「カレーハウス CoCo壱番屋」の先見性はスゴイと思う。

「にのや」を経営するのは、千葉県が発祥の一家ホールディングス。居酒屋「こだわりもん一家」、博多料理を売りにした「屋台屋 博多劇場」、「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」など、千葉と東京を中心に70店ほどを展開する居酒屋事業などを行う中堅企業だ。東証1部上場企業でもある。

西新宿の「おでんトさかな にのや」は2020年6月のオープンで、和食中心の創業業態の「こだわりもん一家」のスピンアウトとして出店したが、比較的好調だったようで、21年4月には東京・有楽町に「寿司トおでん にのや」を開店している。

こちらは、JR有楽町駅から東京駅へ続く高架下。東京国際フォーラム横ではあるが、表通りではなく、薄暗いトンネルのようなところを入った、ほぼ突き当たりにある。

有楽町では新しい試みを実施しており、季節性が強いおでんに加えて「あて巻き寿司」を売り物に据えた。あて巻きとは、食事としてのすしではなく、つまみとしてのすしのことで、多くはすし飯を少なめにし、魚介類をメインにする。ワサビのみかキュウリなどを添えた辛い巻物、通称「涙巻き」もこの類に入るだろう。

立地の良さから、こちらも繁盛している。せんべろ居酒屋や老舗酒場だけが、飲み屋ではない。おいしくて、ちょっとしゃれていて、それでいてリーズナブル。こうした店が今後増えてくるのではないか。

ちなみに西新宿の「おでんトさかな にのや」で払った金額は、おでん3品とお造り、茶わん蒸しに日本酒3杯で3388円だった。席待ちのため前に1軒行っていたため、酒もつまみも少し少なめだったが、きちんと予約していっても4000円前後というところだろう。一人飲みオヤジに優しい店は、財布にも優しい店だった。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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