酒もつまみも少しずつ試したいオヤジにぴったり

酒もそうだ。メインは日本酒。「十四代」「磯自慢」「作(ZAKU)」「東洋美人」「日高見」など、有名ブランドをそろえており、全16種。そしてどれも、基本は1合の半分である5勺(しゃく、半合=約90ミリリットル)でグラスでの提供。少しずつ様々な銘柄を楽しむことができる。もちろん1合での注文も可能だが、いろいろなものを少しずつ試したいというのは、女子だけではなくオヤジも同じ気持ちなのだ。ちなみに価格は500~600円台が中心で、こちらもさほど安いわけではないが、悪い気持ちはしない。
様々なつまみがあるなかで、面白いのは、茶わん蒸し。カウンターの両隣の客が小さな黒い器の料理を頼んでいたので、興味を持ってスタッフに聞くと、「茶わん蒸しです」というので、頼んでみた。メニューには「松茸と銀杏の茶碗蒸し」(418円)とある。

5分ほどして出てきた茶わん蒸しは、外見がなかなかかわいい。蓋つきで開けるときのワクワク感がある。そして蓋を取ると、上にはギンナンがぎっしり。よくある炒(い)ったものではなく、蒸しているのだろう。軟らかく食べやすい。これはつまみになる。
そしてギンナンをある程度食べると、下から茶わん蒸しが現れる。具材はマツタケのみ。しかも申し訳程度ではなく、かなりみっちり入っている。これはこれでつまみになる。少しばかり硬めなのも良い。
茶わん蒸しといえば、和食店(最近行ってない)のコースか、回転ずしの最初の1品でしか食べたことがないが、ほぼ同じ仕様で、エビやギンナン、タケノコなどが入って、仕上げにミツバを散らしている。卵もどちらかというと軟らかめなところがほとんどだ。「にのや」は、それをつまみとして食べやすいように、アレンジしている。なかなかよく考えられている。

おでんは、比較的スタンダードだ。アゴだしを売りにしているが、だしの味は控えめで、どちらかというと優しい味わい。塩味も控えめでオヤジに優しい。価格は、特別な品を除けば、100円台。こちらも優しい。
気になったのが、シメの充実度だ。メニュー上は、3種類しかないのだが、「天然ぶりのあご出汁茶漬け」(385円)、「焼きあご出汁のスパイシーカレー」(380円)、「半熟卵天丼いくらちらし」(418円)と一癖も二癖もありそうな品ぞろえ。
しかも、そのすべてが、おひたしを盛るような小鉢での提供だ。ご飯の量は、おそらく、ご飯茶わん一膳の半分にも満たないくらいではないのか。「これだよ、これなんだよ」。声を大きくして言いたい。