トリッパのおでんもある創作イタリアン 東京・五反田

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2022/4/25
「小林屋」ならではの品。イタリアンの食材である「トリッパ」のおでん

2021年1月、五反田のイタリア料理店「小林食堂」の姉妹店としてオープンした「小林屋」。場所は五反田駅東口から徒歩4分ほどの場所にある。

シェフの井上裕貴さん、ワイン担当の上松旬さんの若き20代コンビが店を切り盛りする、初々しくフレッシュな「創作イタリアン」だ。

店内はカウンター8席のみ。こぢんまりとした造りだが圧迫感はなく、適度な狭さがむしろ心地良い。

21年の1月というと、飲食店としては大変な時期だったはずだが、それでもオープンに踏み切ったのは「コロナ禍で困っている生産者さんを助けたい」という思いがあったから。

「卸先を失った鮮魚や野菜を産地から直送してもらっています。国産の食材と自然派ワインで、大人が落ち着いて食事を楽しめる場所になれたら」とシェフの井上さん。

「小林屋」のコンセプトは「おでんと自然派ワイン、お箸で食べる洋食」。国産の食材を使った箸で食べられる和洋折衷の創作イタリアンと、鶏だしのおでん、そして料理に合った自然派のワインを中心にラインアップする。

「お箸で食べる洋食」というコンセプト通り、おでんといっても和洋折衷のオリジナルスタイルだ。

おでんは、鶏ガラに、昆布やカツオ節、タマネギ、ニンニクなどさまざまな食材を約10時間かけて煮込んだ白濁(はくだく)スープのおでん。「小林屋」でしか味わえない唯一無二のおでんだ。

「おでん」には国産粒マスタード、佐賀のユズコショウ、山形の赤ワイン塩、宮城の塩が添えてある

おでんは1種類からオーダーOK。「京生もち麩」「キクラゲ」「伊勢神宮奉納あわそだち玉子」など、具材も特徴的なものをラインアップ。

京生もち麩は、モチモチと弾力のある食感が楽しく、よく味もしみており、口に含むと白濁スープの優しい味がジュワッと広がる。

キクラゲは川崎の「防空壕きくらげ」という希少な国産生キクラゲを使っていて、シャキッ、コリッとした歯ごたえが特徴。おでんになってもキクラゲの食感は健在だ。

伊勢神宮奉納あわそだち玉子は、濃厚かつ大きな黄身が特徴の卵。とくに白身にハリがあり、食べごたえがある。

鶏白湯スープは薄口に仕上げてあるので、別添えの4種の調味料で味を変えて楽しむのもいい。国産の粒マスタード、佐賀のユズコショウ、山形の赤ワイン塩、宮城の塩。

おでんにカラシではなく、粒マスタードというのが面白い。国産粒マスタードはほど良い酸味で主張しすぎないため、繊細なスープの味を邪魔することなく、さりげなく味を引き立てる。

赤ワイン塩は動物性のものと相性が良いのでフランクフルトなどの肉系具材や卵にぴったりだ。