個性豊かな鎌倉野菜のイタリアン 神楽坂にたたずむ野菜を生かした料理編② 坂の上レストラン

大切な人と一緒に行きたいお店を選べるサイト「大人のレストランガイド」から、安心して通える「行きつけにしたい店」をピックアップして紹介します。

ヨーロッパ風の石畳の路地と歴史のある和風建築物が調和する街「神楽坂」を体現したような店が、路地にひっそりとたたずむイタリア料理の「坂の上レストラン」(東京都新宿区)だ。料亭のような和風の店構え。腕をふるうのはフレンチからスタートしてイタリアンを手掛ける兼平博シェフ。コース料理に組み込まれる野菜は、イタリアやフランスからのタネや苗が鎌倉の豊かな土壌に根付いた鎌倉野菜。和と洋が混じり合う環境で生まれる料理は、美食家たちに愛され続けている。

坂の上レストランがあるのは、神楽坂から路地を入ったところにある通称「かくれんぼ横丁」。お忍びで訪れた大人がさっと身を隠せるような雰囲気があることが名称の由来とされる。実際、少し異世界のような雰囲気がある。

神楽坂の路地にたたずむ

接待など従来通りの仕事絡みの会食のニーズに応えつつ、新型コロナウイルスのまん延でより身近な人との時間を大切にしたいという世相が広がったことを受け、家族や友人などプライベートでの会食で利用する人が増えているという。

料理は基本、昼も夜もイタリアンのコース。フレンチの技巧をベースに、フレンチに比しておおらかなイタリアンを再解釈し、そこに和のテイストも加味するという兼平シェフの独創的な料理には強固なファンがついており、コロナ前は予約の取れない店としても知られていた。しかし、今は以前よりも席は確保しやすくなっている。

鎌倉野菜

坂の上レストランの料理の特徴は、肉や魚はもちろんのこと、野菜に並々ならぬこだわりがあること。シェフが特にほれ込んで使い続けているのが鎌倉野菜だ。「鎌倉の土壌が素晴らしいので、とにかく味や香りが濃くて強い。彩りも豊かで、黒や紫、真っ黄色だったり、一般の方が想像するような野菜とはかなり違う」という。大根なども一般に売られているような真っすぐなものでは必ずしもなく、曲がっていたりもするし、大きさもまちまちだったりもする。味すらもばらつきがある。それでも野趣を保ったままの野菜たちは、大地の味がする。そんな個性派の野菜たちに兼平シェフが魔法をかけていく。

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