版画の「知的な挑戦」 ルネサンス期の名作

ナショナルジオグラフィック日本版

芸術家のアルブレヒト・デューラーは1513年、旅する騎士がさまざまな苦難に直面する象徴的な版画を制作した(IMAGE COURTESY OF ALAMY/ACI)

ドイツの芸術家アルブレヒト・デューラーは油彩画、水彩画、素描の巨匠であると同時に、版画というもうひとつの領域でも多大な功績を残した。1513年には「騎士と死と悪魔」を制作。続く2作の複雑な版画とともに、デューラーの三大銅版画と呼ばれている。デューラーは木版画と銅版画の両方を手がけ、版画を芸術の域まで高めた。

イタリア芸術家の影響

1471年に現在のドイツ、ニュルンベルクに生まれたデューラーは、ミケランジェロ、ラファエロ、レオナルド・ダ・ヴィンチなど、同じルネサンス期を生きるイタリアの画家たちから大きな影響を受けた。

[ジェントルマン・アーティスト]1498年に描かれたデューラーの自画像。スペイン、マドリードのプラド美術館に収蔵されている(IMAGE COURTESY OF ALBUM)。アルブレヒト・デューラーは10代前半から13枚の自画像を描いている。最も有名な自画像の1つが、1498年、26歳のときに描かれたものだ。豪華な衣装と子ヤギの革の手袋を身に着け、単なる職人ではなく偉大な芸術家であることを表明している。イタリアでは芸術家の地位が高く、デューラーはイタリア訪問のたび、その恩恵を享受した
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比類のない技術力