
食べるとカロリーや栄養が気になる、だからこそなおさら食べたくなる「罪の味」。インスタント食品に対してそんなイメージを抱いている人は多いだろう。しかし、こうした罪悪感を解消するだけでなく、理想的な栄養もとれるインスタントの完全栄養食が登場した。日清食品が5月30日から公式オンラインストアで販売を開始した「完全メシ」シリーズだ。まず「完全メシ 豚辛ラ王 油そば」「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」のほかスムージー2種、グラノーラの計5品を投入した。
食物繊維や必須栄養素すべて含む

完全栄養食とは、必須栄養素をすべて含む食品のこと。ビタミンC以外のビタミン、ミネラル、たんぱく質などを含む鶏卵を指すこともある。しかし近年になって注目されているのが、食物繊維なども含めた必須栄養素を人工的に組み合わせた食品だ。英国発、ドリンクタイプの「Huel」や、日本のフードテックベンチャーによる、パン、麺やクッキーのバリエーションがある「BASE FOOD」などが知られている。
こうした完全栄養食が台頭してきた背景としては、健康への意識が高まるとともに、健康を維持するための知識がある程度根付いてきたことが挙げられるだろう。体形維持や生活習慣病予防のためには、日々の食事でカロリーや糖質、塩分を抑えつつ、たんぱく質やビタミン、ミネラルをバランスよくとる必要があることを、多くの人が知るようになった。
とはいえ、「栄養バランスよく」と口で言うのは簡単だが、実践は困難だ。理想的と言われるのが魚を中心とした和食の献立だが、一人暮らし、あるいは共働きの家庭では毎回そのような食事を準備するのは負担が大きい。また具体的に何をどれだけ食べたらよいのか分からない人がほとんどだろう。
「簡単に必須栄養素がとれる食事があれば」という潜在的なニーズへの答えとして生まれたのが完全栄養食なのだ。3食とも完全栄養食にするというより、1日3食のうち1食、朝食やランチなどを置き換える、という使い方が一般的なようだ。
栄養バランスを考えるのが面倒な30~40代に

日清食品が発売した「完全メシ」は、朝食と置き換えやすいグラノーラやスムージーのほか、インスタントタイプのカレーライス、油そばというメニューセレクトになっている。
この狙いについて、同社ビヨンドフード事業部マーケティング部 ブランドマネージャーの金子大介氏は「健康のことを考えた食品というと、味も素っ気もない印象があります。ですが、『完全メシ』では当社が培ってきたお客様とのコミュニケーション、ブランディングを生かして、一見健康とはかけ離れたメニューなのにしっかりと栄養が摂れる食品を狙いました。プロモーションにおいても栄養のことをあれこれ考えなくても、行動変容しなくても自然に栄養バランスをとれる、ということが伝わるよう工夫しました」と説明する。
年代や性別問わず幅広い層に向けた商品だが、メインターゲットとして想定したのが30〜40代で、栄養バランスが気になっているものの「どうしたらいいか分からない」「面倒だ」と感じている人だそう。見ると、パッケージに「栄養バランスを考えるのが、めんどくせぇヤツらに!」と書かれている商品もある。