成長戦略の1つに位置付け他社とも協業
シリーズ商品では、見た目やおいしさはそのままに、国が定める「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素を含んでいる。「完全メシ 豚辛ラ王 油そば」は466kcalだが、1650kcal分食べたときに1日分の必須栄養素を得られるよう構成されている。1650kcalというのは、50〜64歳の女性で生活の活動量が低い人に必要とされている摂取カロリー。今後発売する同シリーズも同様の栄養構成となる。
金子氏によると、やみつきになる味わいと栄養バランスを両立するために、過去インスタントラーメンなどで培ってきた技術を総動員した。例えば栄養成分の苦みやえぐみを閉じ込める技術、麺の中心層にたんぱく質や食物繊維を練り込む技術などが挙げられる。
「完全メシ 豚辛ラ王 油そば」を試食してみたが、いわゆるガツンとした、従来のインスタント食品と同じ味で、食べてしまったときの罪悪感すら感じられたほどだった。
完全栄養食プロジェクトは2021年に発表された同社の成長戦略の1つでもある。花王や楽天、トヨタなどと協業するなど、これまでにない大きな取り組みとして進んでいる。冷凍食品やフレッシュ調理の弁当、外食メニュー、ミールキット等さまざまな形で開発中だ、このコンセプトにのっとった消費者向けの第1弾商品として発売されたのが今回の完全メシシリーズというわけだ。今は日清食品のオンラインストアと都内の一部コンビニエンスストアでのみ販売されているが、将来的にはさらなる展開も検討されている。「完全メシ」シリーズの売上高は初年度の22年度で30億円、23年には100億円を目指す。
日本ではもちろん、世界でも認知度の高い日清食品による完全栄養食品プロジェクト。人々の食生活を変える、これまでにない大きな動きとなりそうだ。
(ライター 圓岡 志麻)