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ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をきっかけに、世界中でインフレが加速しています。さらに日本ではこのところ急激な円安が進行。エネルギーや食料などの価格高騰が家計や企業を直撃し始めています。私たちはこうした事態にどう対処すればいいのでしょうか。マネックスグループ社長の松本大氏に聞きました。

何十年かに1度、ポンと跳ね上がる

今がどういう状況なのかをつかむために、少し時間軸を変えて考えてみましょう。突然ですが、明治時代の月給はいくらぐらいだったと思いますか。正解は10円程度です。それが令和の今では、数十万円が当たり前。最近は賃金が上がらないことが問題視されていますが、それでも昔に比べれば何万倍にも上がっています。つまり、流通するお金の量、物価ともにものすごく長いスパンで見ればずーっと右肩上がり。すなわちインフレなんですね。

一方、1年程度の短いスパンで見ると、ほとんどの期間において物価は安定しているか、デフレ状態です。それでも長期的にインフレなのは、何十年かに1度、急激なインフレが起きるからです。物価のグラフを遠くから見ると、なだらかに上昇しているけれども、虫眼鏡で見てみると実は階段状になっていて、あるタイミングでボンと跳ね上がっている。今はまさにそのボンを跳ねるタイミングが来ているのだと言えます。

日本で前回、ボンと跳ねたのはオイルショックの時でした。1974年の消費者物価指数は前年比で約23%も上がりました。50年近く前のことなので、覚えている人は少ないでしょうが、日本でもたった1年でそれだけ物価が上がったことがあったのです。こういうことはめったにないので、人はどう対処してよいかわからず、パニックに陥ったり、思ってもみない行動をとったりしがちです。その結果、振れ幅が大きくなってしまいます。

そう考えると、今は円安が1ドル=130円付近まで進んで「大変だ!」と騒いでいますが、150円台になることだって十分あり得るでしょう。特に問題なのは長い間デフレだった日本は、海外に比べてインフレが起きるのが遅くなることです。インフレが先行する国々は金利引き上げに動きますから、どうしても金利差が生まれ、円は売られやすくなります。物価上昇率も、日本銀行の黒田東彦総裁が目標に掲げてきた2%をついに超え、4%まで行くかも、などと思っていたら、15%を超える事態が起きるかもしれない。

人間はどうしても、それまでの延長線上で物事をとらえてしまいますが、物価や為替相場が想定以上に大きく動いたときにどうすべきか、今から頭の体操をしておくことはとても大事だと思います。

松本大 マネックスグループ社長

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