「代替肉」の缶詰 味もいけるし環境にも優しく黒川博士の百聞は一缶にしかず(14)

筆者が所有する代替肉の缶詰(左端の商品は旧パッケージ)

大豆や小麦などの植物性タンパクから造られる代替肉。イオンやイトーヨーカドーなどのスーパーでも扱うようになったから、気になっている人も多いだろう。家畜の肉を使わないことで、環境への負荷(水資源の大量消費、温暖化ガスなど)を抑制できるし、動物愛護の観点から肉食を減らそうと考えている人にもマッチする食べ物であります。

実は缶詰業界では、代替肉が早い段階から商品化されている。1980年代の半ばに、僕は大豆から造られたハンバーグの缶詰を食べたことがある。代替肉体験はそれが初めてで、未知の食材にワクワクしたのだけれど、とても肉とは思えない味で落胆したのを覚えている。ハンバーグというより、がんもどきに近い食べ物だったからだ。

しかし、現代の代替肉の缶詰は当時とはおよそ違う。味も食感も肉にかなり近づいていて、植物原料と思えないくらいに進化している。

オーサワジャパンの「穀物で作った畑の肉 ひき肉タイプ」(215グラム、494円)

小麦タンパクと大豆タンパクをミックスして造っているのは、オーサワジャパン(東京・目黒)の「穀物で作った畑の肉 ひき肉タイプ」だ。一般的なサバ缶と同じサイズの缶に、淡い褐色の代替肉がぎっしり詰まっている。内容量は215グラムとかなり多めで、しょうゆ味が付いているが、ほんのりした薄味なので、様々な料理に使えそうだ。

この商品には、ひき肉タイプだけでなくブロックタイプもある。ひき肉タイプよりもずっと細びきの代替肉が、ひと口サイズの塊状になって収まっている。炒めて焼き肉のようにしたり、唐揚げのような料理に使うなら、ブロックタイプのほうが向いていると思う。

レトルトカレーの肉をちょい増しする際にも便利だ

ひき肉タイプの使い方で最も気に入ったのは、レトルトカレーにそのまま加えること。すなわち肉の増量用であります。薄味なので味に違和感がなく、よく混ぜるとキーマカレーのようになる。僕はいつもレトルトカレーを食べると「もっと肉が入っていたらいいのに」と思うのだけれど、その不満はこれで解消できる。

この代替肉は食感が素晴らしくて、弾力のある部分(肉で言えば脂身)と、やや歯応えのある部分(同、赤身)の両方が味わえる。まるで加熱したひき肉そのものの食感なのだ。ただし匂いだけは肉と違い、高野豆腐のような、あるいはパンのような匂いがする。決して悪い匂いではないんだけど、肉の匂いでないことは確かだ。

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執念を感じさせる造作