2022/2/18

――リベンジ消費といわれる行動ですね。

「個人的にはリベンジ消費という言葉は好きではありません。ラグジュアリー商品は自分へのご褒美であり『確実な安心感』で買っているのだと思います。我々は現在、不確定な世界に住んでいます。コロナ禍で人は、より確実なものを探す意識を強めました。ジュエリーは時間に左右されることなく、いつまでも持っていられて、子孫に引き継ぐこともできる安心感があるのです。もう一つ、日本人がVCAを魅力的に感じる理由は、一つ一つの商品が特徴的だから。パッと見てVCAのジュエリーだと分かるアイデンティティーがお客様の心に響くのです」

モノとの付き合い方 コロナ禍で変化

――アルハンブラはフリマアプリをはじめ中古市場でも大変な人気です。限定品は発売日の翌日に値が上がっていることも多いのですが、こうした2次流通の過熱ぶりをどう見ていますか。

「中古・ビンテージ市場はコロナ以前から世界的に活性化しており、コロナでその勢いが加速しました。絶版品やレアな品がセカンドハンドマーケットで人気ですし、高値で取引されています。VCAのハイジュエリー(超高額品)はオークションハウスで大変高値で取引されていて、エントリーモデルも時間が経過するとともに価値が高まっています」

「仕事の装いではできるだけフォーマルでいたいです。トラディショナルな要素をモダンで、かつ、自然でエレガントに見せる、というのが私のこだわりです。色のコーディネートを重視して、ネクタイはソリッドタイがほとんど」

――否定的には見ていないのですね。

「我々がプレミアム価格の設定に関与することはありません。お客様が購入する価格がつり上がることについては申し訳ない気分でもあります。ですが、ブランドの人間としては、お客さまがこうした時間の経過に伴う価格の上昇を理解していただいていることに安心感を覚えます。車や家具ならたいがい、購入した翌日から価値が下がります。ラグジュアリーブランド、特にジュエリーは価値が上がり、修理を経てその価値をいつまでも保てるのです」

――コロナショックはビンテージ市場の人気にどう作用したのでしょうか。

「直接関連性があるかは不明ですが、コロナを通じて人々は、人生は短くてはかない、未来はコントロールできないとはっきり感じたのではないでしょうか。時間は無情にも過ぎていきますが、ビンテージを買うことによって、ルーツや歴史の一部に触れた気分になれます。モノの来歴や物語を知りたいということも購入の動機になる。モノとの付き合い方が変わったのだと思います」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)


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