健康を維持するために毎日少しずつでも運動したい。でも結局週末にしか時間が取れない…という人は少なくありません。余暇時間に行う有酸素運動(ウオーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など)を週3日以上行った場合と、週末に集中して行った場合では、得られる利益に差があるのでしょうか。このほど行われた研究[注1]で、運動の総量が同じであれば、何日に分けて運動しても死亡リスクの低下に差はないことが明らかになりました。
運動はまとめてやってもこまめにやっても効果は同じ?
これまで、有酸素運動を週に1~2日間集中的に行った場合と、週に3日以上にわたって行った場合に、死亡リスクに及ぶ影響が異なるのかどうかは明らかではありませんでした。そこで、ブラジル・サンパウロ連邦大学などの研究者たちは、この2つの運動パターンについて、あらゆる原因による死亡(総死亡)と、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)による死亡、がんによる死亡に対する影響を比較することにしました。
分析に用いたのは、1997~2013年に米国民を対象に行われた健康に関する聞き取り調査に参加した、18~84歳の人々のデータです。調査の参加者から、がん、慢性気管支炎、肺気腫、心疾患、脳卒中の患者を除外し、運動習慣に関する情報がなかった人、中強度から高強度の運動が不可能な人などを除外して、35万978人(平均年齢41.4歳、50.8%が女性)のデータを抽出しました。これらの人たちの2015年12月31日までの死亡に関する情報を、全国死亡指数(NDI)から取得しました。
参加者たちは、余暇時間の有酸素運動について以下の4つの質問に回答していました。
(2)高強度の運動は1回に何分行いますか
(3)10分以上の低強度から中強度の運動を1週間に何回行いますか
(4)低強度から中強度の運動は1回に何分行いますか
「低強度から中強度の運動」と「高強度の運動」は、発汗の程度、呼吸数と心拍数の増加の程度を例に示した上で、参加者自身に判別してもらいました。
1週間の運動の総量は、高強度の運動をした時間(分数)を2倍し、中強度までの運動を行った時間(分数)と合計したものとしました。たとえば、高強度の運動を週に25分、中強度までの運動を週に100分行った人の総量は、週150分となります。
運動の総量が週150分未満だった人を「不活発群」、150分以上だった人を「活発群」に分類しました。「活発」の人はさらに、1週間に運動する回数(日数)に基づいて「1~2日群」と「3日以上群」に分類しました。
[注1]Dos Santos M, et al. JAMA Intern Med. 2022 Aug 1;182(8):840-848.
