日経Gooday

運動の総量は週3日以上のほうが多く、健康利益も大きい

35万978人を10.4年(中央値)追跡したところ、2万1898人が死亡していました。うち4130人が心血管疾患、6034人ががんによる死亡でした。

運動習慣に関する評価では、19万80人(52.5%)が不活発群、残りの16万898人(47.5%)が活発群に分類されました。活発群のうち9992人が週に1~2日、15万906人は週に3日以上運動していました。1週間の運動時間の総量は、週に1~2日群が240分、週3日以上群は420分でした(いずれも中央値)。

結果に影響を及ぼす可能性がある、年齢、性別、人種、学歴、収入、配偶者の有無、喫煙習慣、飲酒習慣、自覚している健康状態、精神的苦痛の状態、併存疾患の数、身体機能の状態を考慮して分析した結果、不活発群と比較した活発群の総死亡のリスクは、1~2日群ではやや低い傾向は見られたものの統計学的有意差はなく、3日以上群では有意に低下(15%)していました。

心血管疾患による死亡のリスクも、1~2日群では13%低い傾向(有意差なし)を示すにとどまりましたが、3日以上群では23%低下(有意差あり)していました。がんによる死亡のリスクも同様で、1~2日群ではやや低い傾向(有意差なし)が認められ、3日以上群では12%低下(有意差あり)していました。

運動総量が同じとすれば死亡リスクの低下は同程度に

週に1~2日群と週3日以上群では運動の総量が異なっていたため、著者らはさらに、運動の総量の差を考慮すべき要因に追加して、1~2日群と3日以上群の死亡リスクを比較しました。運動の総量が同じ人たちを比較した分析では、両群の総死亡と心血管疾患死亡、がん死亡のリスクに有意差は見られませんでした。

今回対象となった人々では、週に1~2日、まとめて運動している人の運動総量(週240分)は、週に3日以上運動している人の運動総量(週420分)に比べると明らかに少なくなっていました。しかし、1週間の運動総量が同じであれば、運動する日数が少なくても多くても、死亡リスク低減効果は同じだけ得られる可能性が明らかになりました。この結果は、多忙な週日に無理をして時間を作らなくても、週末にまとめてしっかり運動すれば、健康利益が得られることを示唆するものといえます。

[日経Gooday2022年8月26日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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