ボトルの中で熟成する「列車ヌーボー」

トラックに積み込まれ、陸路で輸送される今年産のボージョレ・ヌーボー(フランス、徳岡提供)

ワイン輸入業者の徳岡(大阪市)は昨年、同社が輸入するボージョレ・ヌーボーの一部を、航空輸送とは違う輸送法に切り替えた。まず、フランスからドイツまでトラックで運び、その後、中国まで鉄道で輸送。再びトラックに積み替え、港まで運び、そこから船で日本に運んだ。輸送経路の約9割が陸路だ。同社の徳岡園子さんは、「陸路だと空路に比べて温暖化ガスを約95%削減できる」と話す。今年も一部の商品を、飛行機を使わずに輸入することにした。

ほぼ陸路で輸入したボージョレ・ヌーボーを徳岡は、「列車ヌーヴォー」の商品名で、6本セット10,000円(税込み)で販売する。ただ、発売日は12月になる見通しという。徳岡さんは「無理に解禁日に飲まなくても、ボージョレ・ヌーボーは十分楽しめる。実際、フランスでは解禁日当日に飲む人は少数派。脱炭素への貢献と共に、列車ヌーヴォーを通じて、新しい楽しみ方も提案したい」と話す。

ワイン輸入業者のディオニー(京都市)は今年から、同社が扱うブランドの1つ「ロミュアルド・ヴァロ」のボージョレ・ヌーボーを全量、船便で輸入することにした。昨年、試験的に半量だけ船便で輸入したところ、消費者から「コスパがよく味もおいしいと好評だった」(バイヤーの玉城寛樹さん)ため、今年は全量、船便での輸入に切り替えた。

その理由について、玉城さんは「一番の理由は、お客様にできるだけ安く、おいしい状態で提供したかったから。それに船便にすれば、温暖化ガス排出量の削減にも貢献できるので」と説明する。

玉城さんは、ボージョレ・ヌーボーの価格がここ10年の間に非常に高くなり、飲み手にとってコストパフォーマンスのよいワインではなくなった、と感じていた。そのため、何年か前から、輸送費を大幅に抑えることができる船便での輸入を検討していたという。さらに玉城さんは、「よい生産者のボージョレ・ヌーボーは、出来たてほやほやの11月に飲むより、ボトルの中で少し熟成させたほうが、よりおいしく飲める」と指摘する。

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