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メインの平台の中央付近に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

メインの平台の中央付近に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。周辺の人出は大きく増えるわけではないが減ることもなく、ビジネス書の売れゆきも厳しい状況から抜け出しつつある。そんな中、書店員が注目するのは、コロナ禍で甚大な需要喪失に直面した全日本空輸(ANA)の苦闘の日々を追った企業ドキュメントだった。

誰が、いつ、どこで、どう立ち回ったのか

その本は高尾泰朗『ANA苦闘の1000日』(日経BP)。著者は経済誌「日経ビジネス」の記者で、航空や運輸、マクロ経済を2020年から担当している。この期間は日本のコロナ禍の期間とほぼ一致する。「コロナ禍の1000日でANAHD(ホールディングス)やそのグループ会社を繰り返し取材・執筆してきた内容を基に、大幅に改稿・追加してまとめた」のが本書だ。

「ANAHDの中で、誰が、いつ、どこで、どう立ち回ったのか――。復活に至るまでの"1000日"の苦闘を忠実に記録すれば、企業の危機対応の『お手本』として活用してもらえるのではないか」。著者は本にまとめた思いをこのように語る。当たり前に収益を上げていた事業の需要のほとんどが消える。そんな事態はふつう思いも寄らないが、今回は現実に起こった。経営的にどのような手を打つか。現場はどう受け止め、どう動くか。その多面的な人の動きそのものが本書の読みどころだ。

全体は6章構成。冒頭の第1章で異変の始まりを描き、第2章では初期対応に奔走する経営陣に焦点を当てる。「急速な資金繰りの悪化に苦しめられるANAHDが真っ先に取り組まなければならないのが金策だった」。さらにキャッシュアウトを少しでも食い止めるコストカット。一時帰休、賞与カット……。命をつなぐためのキャッシュフローをめぐる戦いが描かれる。

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