「高倉健が着た」で人気 バラクータG9と控えめの美学コラムニスト いであつし

高倉健さんが好んだバラクータG9。時代を超えてなお愛用され続ける不朽のデザインだ(玉木朗さん私物)

フィッティングがモダナイズされて、セレクトショップや人気ブランドから別注モデルが出るなど、イケてるファッションアイテムとして見事に復活を遂げた銘品「バラクータG9」。そしてバラクータG9といえば、いまやスティーブ・マックイーンではなく高倉健である。ファッション誌やSNSなどでバラクータG9を紹介する記事も、「高倉健も着ていた~」がすっかり枕ことばとして定着している。




プチ自慢になってしまうが、バラクータG9といえば高倉健。これを記事として最初に書いたのは、誰あろう筆者である。それまではファッション誌でもバラクータG9を紹介する記事は、大抵がスティーブ・マックイーンの名前しか挙げられていなかった。

「ダサいジャンパー」も健さんが着れば…

もっともほんの数年前までは、「新聞の集金のオジサンが着るジャンパーみたいでダサい」などとずっと言われ続けて、今のような人気はまったくなかった。取り扱っているお店も上野のアメ横の「玉美」か、森万恭氏がディレクションしていた頃の「ドレステリア」か、三軒茶屋の「SEPTIS(セプティズ)」ぐらいしかなかった。

筆者が高倉健さんの記事を書いたのはその中の一軒、セプティズのHPで連載していたコラムである。そこで「バラクータG9といったらマックイーンじゃなくて高倉健」というタイトルで、「バラクータG9というとスティーブ・マックイーンの着こなしが憧れとされているが、実はワレワレの世代にとっての本当に憧れのお手本は、TVドラマ『あにき』の高倉健さんのバラクータG9の着こなしである」と初めて書いたのだ。

セプティズのHPのコラムのイラストは綿谷寛さんによるもの。高倉健さんとスティーブ・マックイーンのバラクータG9の着こなしの違いが一目で分かる

「無口でシブい鳶(とび)職人のかしら役を演じていた健さんは、いつもバラクータG9のドッグイヤーの襟をビシッと上まで締めて着ていて、その着こなしたるやマックイーンなんかよりもはるかにリアルでカッコよかった」とか、「このことを原宿の『キャシディ』の八木沢(博幸)さんを取材した時に話したら、やっぱり八木沢さんもそうですよね~と同感してくれた」うんぬんと書いている。このコラムはネットで「バラクータG9高倉健」でググると、イラストを描いてくれた”画伯”こと綿谷寛氏のイラストと一緒にいまだに出てくるので、興味のある人はググってみてください。

早いもので、高倉健さんが亡くなって11月10日でまる7年になる。健さんの訃報がニュース速報で流れた7年前のあの日、真っ先に筆者のケータイに「健さんが死んじゃった!」とラインを送信してきたのは、このコラムを書いた三軒茶屋のインポートショップ、セプティズのオーナーの玉木朗氏であった。

それもそのはずで、玉木氏は若い頃に上野のアメ横で「SHIPS」の前身である「ミウラ」と共に伝説の名店と呼ばれている「る~ふ」というインポートショップで働いていて、なんと高倉健さんにバラクータG9を売った人でもあるのだ。

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